涙をこらえるのが精一杯…鬼だと思っていた上司にかけられた「熱い一言」

<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴち
性別:男性
年齢:52
プロフィール:若いうちに良き師匠と出会えた私は本当に幸運です!

今から30年ほど前、私が23歳の頃の話です。
高校を卒業してからずっと製造の仕事をしてきた私は、初めて販売の業界に転職しました。
全くの畑違いの職種ではありましたが、「とにかく何でも教わって、早く一人前になろう!」と意気込み、新しい世界の扉を開けたのでした。
配属先の店舗の店長(当時48歳)が直属の上司となり、指導してくれることになったのですが、この店長、とにかく仕事に厳しく、一切の妥協を許さない方でした。
新人の私のささいなミスも決して見逃してはくれず、毎日のように小言をいただきました。
小言も数日なら「指導」として受け入れられるのですが、それが1カ月も続くと、私も正直なところげんなりしてきました。
げんなりした気持ちでいるところにお構いなしのお小言。
次第に私の心の中で「何で私ばっかり言われるんだろう。同じようなミスをしている人はたくさんいるのに、何も言われないなんて不公平ではないのか?」と思う気持ちが強くなりました。
その思いはだんだんと大きく膨らみ、私の心を支配するようになっていきました。
それから半月ほどたったある日のこと。
いつも通りお小言をちょうだいし、心がささくれていた私は、トイレの個室に逃げ込んでいました。
すると、誰かがトイレに入ってくる気配がしました。
声から察するに店長と副店長のようです。
「しごきすぎじゃないですか? あいつ、だいぶまいっているみたいですよ?」
副店長が言いました。
そして、店長の返答に私は驚かされました。
「あいつはしっかりとついてきている。あれだけ頑張っているんだから、あいつはまだまだ伸びるよ。あいつは決してくじけない。俺は期待しているんだ」
そう話しながら2人はトイレから出ていきました。
もしかすると、トイレの中に私がいることを知っての激励の言葉だったのかも知れませんし、そうではないのかもしれません。
どちらにせよ、店長の言葉でそう言ってもらえたことが嬉しくて嬉しくて仕方がありませんでした。
それからも店長からのお小言をたくさんもらい、3年後、一つのお店を任されるほどに成長することができました。
たった3年で店長になることができたのは、まぎれもなく毎日のお小言のおかげです。
後日、私が初めて参加する店長会議の場で、店長に改めてお礼を言おう!と構えていたら、店長のほうから声をかけてくれました。
そして、今まで一度も見たことのない満面の笑顔で「昇進おめでとう!」と固い握手をしてくれました。
自分なりに懸命に頑張った時期の苦しさと、店長に認めてもらえた嬉しさで、涙をこらえるのが精一杯。
まともにお礼を言えなかったことを今でも鮮明に覚えています。
よく、若いうちの苦労は買ってでもしろ、と言いますが、この苦労がなければ、今の私はなかったかもしれないと思うのです。

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