メガネを選ぶ際、デザインや外見ばかりに気がまわり、肝心な「機能性」を無視してはいないだろうか。そこで、こにし・もりざね眼科の小西美奈子先生に、眼科医師から見た「メガネ選びのポイント」を教わった。眼科医院やメガネ店の役割分担についても伺ってみたい。
監修医師:
小西 美奈子(こにし・もりざね眼科 院長)
慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、済生会神奈川県病院、国立病院機構東京医療センターの各勤務、済生会神奈川県病院眼科医長就任をへた2004年、こにし・もりざね眼科院長就任。専門である「オキュラーサーフェス(角膜疾患、結膜疾患、ドライアイ、アレルギー性結膜炎など)」を軸に、目の総合的な診断・治療をおこなっている。日本眼科学会認定眼科専門医。日本角膜移植学会、日本角膜学会、日本眼科手術学会、日本弱視斜視学会、日本抗加齢医学会の各会員。
年代別で知る、メガネの着目点
編集部
メガネを選ぶときに知っておきたいポイントはありますか?
小西先生
年代によっても異なると思いますので、まずは、お子さんの場合から整理していきましょう。たまに見かけるのは、メガネを鼻にかける部分が固定され、フレームと一体化している商品です。お子さんの顔は小さくて鼻も高くありませんから、固定式の器具ですと、ずるずると落ちてしまうでしょう。一般的な、調節器具が動かせるメガネを選んでください。
編集部
弱視や斜視など、子どもの治療用のメガネについてはどうでしょう?
小西先生
治療用のメガネは、日中から夜間まで、ずっとかけておくのが基本です。より、ホールド性が求められるでしょう。鼻の調節器具と耳のフレームで、しっかり固定されるものを選びたいですね。
編集部
40歳代以降の方はどうでしょう?
小西先生
老眼が出てくるので、遠近あるいは中近 のような異なる度数のレンズを組み合わせた「累進レンズ」で眼鏡を作ることがあると思います。このとき、上下幅の細いメガネには注意してください。単焦点レンズなら問題ありませんが、「累進レンズ」の場合、それぞれのレンズ幅が極端に狭くなってしまいます。かなり使いにくくなるのではないでしょうか。
編集部
すでに老眼鏡を使っている方へのアドバイスはありますか?
小西先生
「今の老眼鏡では見えづらいな」と感じたら、都度、度数の違うレンズに交換していきましょう。多くの方の場合、老眼が40代前半から始まり、60歳くらいまで進行します。年々、ピントが合わせづらくなってくるはずです。また、遠近や中近といった累進レンズの種類によっても、見え方が変わってくるでしょう。不自由を感じる距離に合ったメガネを選んでください。
編集部
作り替えるより、先を見越して度の強い老眼鏡を作ってはダメなのですか?
小西先生
合っていない老眼鏡ですと、かえって目が疲れますし、老眼をより進行させてしまうかもしれません。やはり、作り替えを前提にしておいたほうが得策です。この点は、お子さんの近視用メガネについても同様です。
すでに作ったメガネが合わなくなってきたら
編集部
先生のところに寄せられる悩みで多いのは?
小西先生
「現在使用しているメガネが合わなくなってきた」「見えづらくなってきた」などです。その原因として、度が合っていないのであれば、新しいメガネの度数をお調べいたします。一方、視力とレンズの度が合っている場合は、フレームのゆがみなどが考えられるでしょう。目の病気なら、もちろん治療へ進みます。
編集部
眼科医院で「メガネの処方箋」のようなものはもらえるのですか?
小西先生
もちろんです。処方箋をメガネ店へ持っていっていただければ、より個人に合ったメガネが作れるでしょう。ぜひ、眼科医院を有効活用してください。ご相談のうえ、「累進レンズ」の組み合わせを指定することも可能です。また、必ず診断をしますから、目の病気の早期発見にもつながります。
編集部
メガネの値段に上下があるのはどうしてでしょう?
小西先生
まず考えられるのは、ブランドのフレームなど、本体価格が高額な場合です。次に、レンズの性能も関係してきます。例えば度の強いレンズですと、視野の隅にゆがみを生じさせることがあるのです。高額なメガネの中には、こうした問題を軽減しているものが含まれます。
配信: Medical DOC