定年後に再雇用で働き続ける人も少なくないと思いますが、給与は定年前より下がることが多いようです。
再雇用によって給与はどのくらい下がるのでしょうか? また、再雇用や再就職で下がった収入をカバーするための制度はあるのでしょうか?
定年が70歳になる?
高年齢者雇用安定法により、定年を65歳未満と定めている企業には、以下のいずれかの雇用確保措置を講ずることが義務付けられています。
・65歳までの定年引き上げ
・定年制の廃止
・65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
また、現在は経過措置の期間中ですが、2025年3月31日までにはすべての事業主が段階的に定年を引き上げる必要があります。
さらに2021年4月に施行された同法の改正で、65歳から70歳までの就業機会を確保するための高年齢者就業確保措置として、70歳までの定年の引き上げや継続雇用制度の導入などの措置を講ずることが努力義務とされています。
これまでの法改正の流れから、将来的には定年を70歳とすることが義務化されることも考えられるでしょう。
定年後の再雇用で給与はどのくらい下がる?
高年齢者雇用安定法における雇用確保措置のうち、65歳までの継続雇用制度により、60歳で定年を迎えた人が再雇用されるケースも多いかと思いますが、国の統計などから再雇用後の給与について確認していきます。
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によれば、年齢階層別の平均給与は以下のようになっています。
出典:国税庁 「令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」
この調査結果からは、55歳~59歳と比較して、定年世代となる60歳~64歳では男女ともに平均給与が減少していることが分かります。その減少率は男性が約22%、女性が約17%となっています。
また、日経BPコンサルティングが2021年に実施した「定年後の就労に関する調査」では、年収について「定年前の6割程度」という回答が20.2%と最も多く、続いて「5割程度」が19.6%、「4割程度」が13.6%と、定年前の給与と比較して、実に4割から6割も給与が下がっている人が過半数を占めています。
ただし、上記の調査では定年前に比べ、4割程度の人が勤務時間・日数が減少し、5割程度の人が業務量についても少なくなっているようです。そのため、給与が4割から6割に下がっている理由には、業務量などの減少に比例している分もあることが考えられます。
配信: ファイナンシャルフィールド