離婚後に生活保護を受けるために知っておくべき6つのポイント

離婚後に生活保護を受けるために知っておくべき6つのポイント

離婚後、生活保護を受給するための条件には、どのようなものがあるのだろう……。

離婚後に収入が減ったので、生活保護をもらいたいという方も多いのではないでしょうか。

離婚後に生活保護を受給するためには、いくつか条件があるため注意が必要です。

今回は、

離婚後に生活保護を受けるための条件
離婚後に生活保護を受給できる金額
離婚後に生活保護を申請する方法

など、離婚後の生活保護を受けるために知っておくべきことについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

他にも、「生活保護受給時に制限されてしまうこと」や、「離婚後に生活保護の申請を断わられたときの対処法」などについても説明します。

この記事が、離婚後に生活保護の受給を検討している方に役立てるコンテンツとなれば幸いです。

1、離婚後に生活保護を受けられるのはどんな場合?受給条件とは

離婚後、生活費が足りない場合でも、必ずしも生活保護を受けられるわけではありません。

生活保護を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。

ここでは、生活保護の受給条件についてご説明します。

(1)養育費をもらっていても生活保護の受給は可能

「元配偶者から養育費をもらっていたら、生活保護を受給できないのでは?」とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはありません。

養育費をもらっていても、それを含めた収入が厚生労働省の定める「最低生活費」に満たない場合は、生活保護を受給できます。

ただし、養育費をもらっている場合には、生活保護を満額もらえるわけではないことにご注意ください。

生活保護費として支給されるのは、世帯の収入が最低生活費に満たない分だけです。

満額から養育費の金額を差し引いた分が、支給されることになります。

養育費をもらっていることを隠して生活保護を受給した場合、発覚すると不正に受給した分を返還しなければなりませんので、注意が必要です。

(2)収入がないか少ないこと

すでに説明しましたが、生活保護を受給するには、世帯の収入が厚生労働省の定める「最低生活費」に満たないことが条件となります。

最低生活費は、お住まいの地域や世帯の人数、世帯員の年齢などに応じて決められています。

以下の厚生労働省のページで確認できますので、ご参照ください。

お住まいの地域の級地の確認はこちら
最低生活費(生活扶助基準額)の確認はこちら

養育費の他、仕事をして給料収入がある人や年金を受け取っている人などでも、収入が最低生活費に満たない場合は、不足分が生活保護として支給されます。

たとえば、最低生活費が15万円で、毎月の収入が10万円ある場合、不足分の5万円を受給できます。

(3)資産がないこと

生活費に充てることが可能な資産がある場合は、生活保護を受給できません。

ここでいう「資産」には、現金や預金だけでなく、不動産や自動車、株式などの有価証券、貯蓄型の生命保険など、換金できるものはすべて含まれます。

以上のような資産がある場合には、まず処分して生活費に充て、それでも最低生活費に届かない場合は生活保護を受給できます。

(4)働けないこと

働いて収入を得ることが可能である場合は、原則として生活保護を受給できません。

基本的には、申請する際に病気や怪我、あるいは年齢の問題などによって働けないことを証明する必要があります。

現実に仕事を探しても、なかなか見つからない場合や、働いていても収入が最低生活費に満たない場合には、生活保護を受給できる可能性があります。

(5)親族からの援助を受けられないこと

親族には法律上の扶養義務があり(民法第877条)、お互いに助け合うべきとされています。

親族から援助を受けることが可能である場合は、生活保護の受給はできません。

生活保護の申請をすると、福祉事務所から3親等内の親族に連絡され、申請者の生活費を支援できないかを尋ねられます。

未成年の子どもがいる場合には、元配偶者にも福祉事務所からのお尋ねがあります。

元配偶者には養育費の支払い義務があるので、生活保護を受給する前に可能であれば、元配偶者から養育費を受け取るべきとされているのです。

(6)他の公的支援を受けても生活できないこと

生活保護は最後の手段ですので、先に他の公的支援で利用できるものは利用すべきであり、それでも生活できない場合に限って受給できるものです。

母子家庭には様々な公的扶助や貸付の制度がありますので、ご自身が該当するものを申請しましょう。

どのような公的支援制度があるのかについては、以下の記事をご参照ください。

2、離婚後の生活保護はいくらもらえる?

では、離婚後に生活保護の申請が通った場合、どのくらいの金額が支給されるのでしょうか。

生活保護の支給額は、「1(2)収入がないか少ないこと」で説明したように、お住まいの地域や世帯の人数、世帯員の年齢などによって異なります。

本項では、いくつかのパターンについて、実際に厚生労働省の基準を使って計算してみましょう。

贅沢はできませんが、最低限の生活が可能な金額はもらえることがおわかりいただけるかと思います。

(1)離婚後に単身で生活する25歳女性のケース

例として、東京23区(1級地-1)にお住まいの場合と、埼玉県川越市(2級地-1)にお住まいの場合とで計算してみると、受け取れる金額はそれぞれ以下のようになります。

東京23区に在住の場合:月額132,930円
埼玉県川越市に在住の場合:月額113,620円

(2)離婚後に子ども1人(3歳)と生活する30歳女性のケース

この場合は、それぞれの居住地域に応じて、以下の金額を受給できます。

東京23区に在住の場合:207,510円
埼玉県川越市に在住の場合:181,280円

(3)離婚後に子ども2人(16歳と13歳)と生活する45歳女性のケース

この場合は、それぞれの居住地域に応じて、以下の金額を受給できます。

東京23区に在住の場合:261,840円
埼玉県川越市に在住の場合:230,210円

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