3、離婚後の生活保護申請手順
では、生活保護をもらうためには、どうすればいいのでしょうか。
本項では、生活保護の申請手順をご紹介していきます。
(1)申請の前に|まずは相手方へ請求を検討
「1、離婚後に生活保護を受けられるのはどんな場合?受給条件とは」でも説明したように、生活保護を受給するのは最終手段です。
離婚したあなたは、まずは元配偶者へ養育費や慰謝料、財産分与などの請求を検討しましょう。
元配偶者へ請求できる上記のお金は、離婚後でも請求できます。
元配偶者へ以上のお金を請求を検討しても、以下のような場合に当てはまれば生活保護を申請することができます。
請求しても何らかの事情で支払ってもらえない場合
支払ってもらっても最低生活費に届かない場合
相手方が行方不明などで請求できない場合
(2)必要書類
生活保護を申請するためには、一般的に以下の書類が必要となります。
あらかじめ準備しておきましょう。
身分証明書(運転免許証、健康保険証など)
印鑑(認印でOK)
戸籍謄本(離婚したことがわかるもの)
住民票(家族構成がわかるもの)
通帳や給料明細(収入や資産がわかるもの)
障害者手帳など(病気のために働けない場合は、その事情を証明できるもの)
(3)申請の流れ
必要書類が揃ったら、いよいよ生活保護の申請に赴きます。
①居住地の管轄である「福祉事務所の生活保護担当」へ申請
まずは、お住まいの地域を管轄する福祉事務所に出向き、生活保護担当の窓口を訪ねてください。いきなり生活保護担当の窓口で申請するわけではなく、面談による事前相談を行うことになります。
面談では、家族構成や病気の有無、資産や収入などをはじめとして生活の現状を尋ねられます。
窓口を訪ねる際には、準備した書類一式を持参するようにしましょう。
②申請後に調査が行われる
事前相談で、生活保護の受給条件を満たしていると判断されれば、申請を行います。申請後にすぐに受給できるわけではなく、調査がありますので注意しましょう。
ご自身や家族の資産や所得はもちろんのこと、3親等内の親族や元配偶者に対しても福祉事務所からの「お尋ね」によって調査が行われます。
申請後の調査は、詳細かつ厳密に行われます。申請を通すために嘘の記載をすると印象が悪くなり、再度申請した場合にも審査が通りにくくなる可能性があるので、注意が必要です。
質問に対しては、必ず正直に答えるようにしてください。
4、離婚後に生活保護を受けることで制限されること
生活保護を受けると、生活に一定の制限を課せられます。
生活に制限が課せられると不便な面もあるかと思いますが、制限を守らなければ生活保護の支給を打ち切られる可能性があるので、ご注意ください。
具体的に、次のような制限が課されることになります。
(1)預貯金
生活保護を受給している間、預貯金の額を随時チェックされます。
「いくら以上はNG」という明確な基準はありません。
しかし、預貯金額が多い場合には、預貯金を生活費に充てることが可能と判断され、生活保護を打ち切られることがあります。生活保護を受けている限り、基本的にはまとまった金額の貯金をすることはできません。
ただし、子どもの学費や社会復帰のための準備金など、正当な目的があれば貯金が認められる可能性もあります。
(2)借金
生活保護を受給する以上、借金することは禁止されます。
生活保護費は、「最低限の生活費として支給されるお金」という性質上、借金の返済に充てることも原則として禁止されています。
もし、新たに借金をしたり、生活保護費で借金を返済したりしていることが発覚すると、生活保護を打ち切られる可能性があります。
すでに受け取った保護費についても、返還を求められる可能性がありますので、注意が必要です。
借金を抱えている状態で生活保護費を受給することは可能ですが、基本的に自己破産を申し立てて借金を解消する必要があります。
(3)資産
生活保護を受ける以上、高価な資産を持つことはできません。
前記「1(3)資産がないこと」でも説明したように、不動産や自動車、株式などの有価証券、貯蓄型の生命保険などは処分して生活費に充てる必要があります。
ただし、冷暖房機器や冷蔵庫、洗濯機、テレビなど一般的な生活に必要な家財道具を所有することは認められているため、生活に困ることはないはずです。
(4)生命保険
前記「(3)資産」で説明したように、貯蓄型の生命保険は解約する必要があります。解約返戻金は、生活費に充てることができるはずだからです。
生活保護を受給しながら、資産性のある生命保険に新たに加入することも認められません。
ただし、一切の保険への加入が禁止されているわけではありません。
掛け捨て型の保険であれば、加入が認められる可能性もあります。具体的には、担当のケースワーカーにご相談ください。
(5)住む場所
生活保護を受給すると、住む場所についても制約を受ける可能性があります。
賃貸住宅に住む場合は、住宅扶助の上限額以内の家賃のところに住まなければならないと定められているからです。
現在のお住まいの家賃が住宅扶助の上限額を超えている場合は、上限額以内の家賃の賃貸住宅に引っ越すことが必要です。
配信: LEGAL MALL