カルチャー 交差点の町 日田食遊記_大分県・日田市

カルチャー 交差点の町 日田食遊記_大分県・日田市

福岡より車で約1時間、北部九州の交通の要所にして、九州のへそ的存在。それが大分県日田市。町を歩くと、かつて天領だった面影を残す建物や蔵、三隈川とともに、ローカルフードが迎えてくれる。その土地の水を飲んで、景色を眺め、空気を吸って、土地の人の日常食を食べて過ごす日田滞在を紀行文でお届け

日田を流れる三隈川と
寄り添うように暮らす

水郷と呼ばれる日田の町中を悠然と流れる三隈川。夏の夕暮れには江戸から400 年以上続く遊船と呼ばれる屋形船で鵜飼いを見て、この川で獲れた鮎やうなぎを味わう

 土地の人が愛するローカルフードをソウルフードと言うのであれば、日ひ田たの人々の生活とともにある三隈川は、間違いなくソウルリバーと言えるだろう。日田の町、日田の人々と三隈川の距離感は、物理的にも心理的にも至近距離にあり、町の人に寄り添うように存在している。

 九州のへそと呼ばれる日田は、北部九州の交通の要所。江戸時代は幕府直轄の城下町「天領」として、明治に入ると日田杉の産地として栄えてきた。その結果、各地から人がやってきて、さまざまな場所の文化が集まっている。もちろん人の集まるところには、おいしいものもたくさんある。ぶらりと歩くと、どこからともなく杉のいい香りも漂ってくる。川沿いの隈くま町まちや線路向こうの豆まめ田だ町まちには、立派な蔵を構えた大きなお屋敷が並んでいる。

 なんと言っても人がいい。たくさんの人を迎え慣れてきたということもあるけれど、日の光を受けて表情を変える三隈川の流れを朝に夕に眺めていたら、あくせくなんてしていられないのかもしれない。そんな場所で、日常を食べて、暮らす。最高じゃないか。

地元の人を笑顔にする、みんな大好きローカル食堂

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