お酒を飲んだ後、誰もが二日酔いで悩んだことがあるのではないでしょうか。症状がなくなるのをただ待つのはつらいため、治療薬で症状を和らげたいと感じる方は多いと思います。そこで今回は、二日酔いに効く薬にはどんなものがあるのか薬剤師の福田さんに解説していただきました。
「二日酔い」という状態について知ろう
編集部
そもそも二日酔いとはどんな状態ですか?
福田さん
二日酔いは、飲んだアルコール成分が肝臓で分解される過程で発生する「アセトアルデヒド」が体内で蓄積することで起こります。体内に入ったアルコールは、エタノール(無害)→アセトアルデヒド(有害)→酢酸(無害)→水と二酸化炭素(無害)の順に分解されます。この過程でアセトアルデヒドが十分に排泄されないと、頭痛や倦怠感などの身体症状が出ます。人によってアセトアルデヒドの分解能に差があり、分解が遅い人は二日酔いが長く続いたり症状が重くなったりすることがあります。
編集部
二日酔いの原因は何ですか?
福田さん
二日酔いのきっかけがお酒の飲みすぎであるのは明白ですが、その詳しい原因は解明されていません。アルコールを飲むことで、胃腸障害や脱水症状、軽度の離脱症状、炎症の更新、ホルモンバランスの乱れ、逆流性食道炎が発生します。これらさまざまな状態が複雑に絡み合って発症すると言われています。
編集部
二日酔い対策で水をたくさん飲むというのがありますが、実際に効果はあるのですか?
福田さん
そうですね。対策として、飲酒前後に多くの水を飲むことは良いとされています。アルコールには利尿作用があり、必要以上に水分が体外に出た結果、頭痛などの症状が出ます。普段より多めの水分補給をしておくことで二日酔いの症状が和らぐと言われています。また、水はアセトアルデヒドを排泄するために必須です。悪い成分を早く排泄するためにも、水を飲むようにしましょう。
二日酔いに効く薬ってどんな薬?
編集部
二日酔いに効く薬はあるのですか?
福田さん
先述した通り、二日酔いはさまざまな発生機序が重なった結果、発症します。残念ながら1つの効果で二日酔いの全ての症状を改善する薬はありません。しかし、それぞれの症状に対して「対症療法」を行う薬は存在します。対症療法とは、症状の根本を解消する方法ではなく、発現する症状を抑えるような治療方法です。例えば、お酒があまり強くなく、二日酔いになりやすい人は肝臓の分解を助ける薬が適しています。また、吐き気が強く出る人は制吐成分を含む薬剤が適しているでしょう。
編集部
お酒を飲む前に薬で対処したいのですが、可能ですか?
福田さん
お酒を飲む前に薬で二日酔いを予防したい方は、飲酒前専用の薬剤をご使用ください。お酒を飲む前にできる対策は、肝臓のアルコール分解能力を高めることです。それによりお酒を多く飲んでもスムーズにアルコールを分解でき、二日酔いの症状を軽減させられる可能性があります。具体的な成分は、ウコンエキス、L-カルニチン、シジミエキス、ウルソデオキシコール酸、オロチン酸等が挙げられます。とくに、ウルソデオキシコール酸は肝機能改善の医療用医薬品にも使用される成分です。こういった薬剤はお酒を飲み始める30分〜1時間前までには服用しておきましょう。
編集部
お酒をたくさん飲んでしまった後でも飲める薬はありますか?
福田さん
お酒を飲んだ後に薬で二日酔いを軽減させたい方は、飲酒後専用の薬剤をご使用ください。お酒を飲んだ後にできる対策としては、消化を促進する、体内の水分量を整える、胃酸の逆流を抑える、むくみに備えるなどに効果的な薬があります。人によって二日酔いで出やすい症状は異なりますので、自分に出やすい症状をきちんと把握したうえで治療薬を選びましょう。また、治療薬はなるべく飲酒後すぐに服用するようにしましょう。早い段階で治療薬を服用しておくことで治療薬がスムーズに作用し、二日酔いの症状を抑えられると言われています。
配信: Medical DOC