物盗られ妄想はなぜ起こる? 原因と症状について介護福祉士に聞く

物盗られ妄想はなぜ起こる? 原因と症状について介護福祉士に聞く

認知症の症状で物盗られ妄想というのがありますが、具体的にどんな症状なのか知っていますか? 認知症といってもいくつか種類があり、対応もさまざまです。もし、突然家族や身近な人に物盗られ妄想が起きたら、どのように対応・支援すればいいかわからないですよね。そこで今回は介護福祉士の山田さんに、物盗られ妄想の症状や原因、支援方法について聞いてみました。

物盗られ妄想の症状と原因

編集部

物盗られ妄想はどんな症状なのでしょうか?

山田さん

物盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症の症状のひとつです。症状としては、お金や財布・洗濯物などご本人が大切にしていた物が「ない」や「盗られた」いう発言がみられます。しかし実際は取られたわけではなく、ご本人がそう信じ込んでしまい脚色されていることがほとんどです。

編集部

物盗られ妄想の原因は何なのでしょうか?

山田さん

物盗られ妄想の原因はいくつかあり、一番多いのは認知症による脳機能の記憶障害や理解力・判断力の低下ですね。次に考えられるのが、「大切な物をなくしてしまった」という不安や戸惑いによって引き起こされるケースです。また、個人の価値観が影響していることもあります。たとえば、昔からお金の心配をよくしていたり、財布は常に持ち歩かないと不安になっていたりなどの理由で、物盗られ妄想の原因になっているケースもあります。また、これらの原因が複数重なり、症状として現れている場合もあります。

編集部

認知症が進行すると物盗られ妄想はどうなるのでしょうか?

山田さん

物盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症の“初期”症状です。認知症の症状が進行すると次第に訴えは減っていき、個人差はありますが1年程度でなくなってくるといわれています。

物盗られ妄想の対応

編集部

身近な人に物盗られ妄想が起きたらどのように対応すればいいのでしょうか?

山田さん

まずは話を聞くことが大切です。相手の意見を尊重し、傾聴しましょう。また、ご本人の物語に寄り添うのも重要です。物盗られ妄想をしている方にとっては、大切な物をなくしたという重大なことが起きています。そこで「盗られていませんよ」のような否定的な言葉で対応してしまうと、ご本人を興奮させてしまうので、「いつからないのですか?」とその人の世界に寄り添うことが大切です。話しをするときに気をつけることは、会話はゆっくり短く伝えることです。また、動作も取り入れるとご本人に伝わりやすくなります。

編集部

物盗られ妄想は治療で良くなるのでしょうか?

山田さん

物盗られ妄想の原因であるアルツハイマー型認知症は進行を遅らせることはできますが、完治は難しいといわれています。認知症の治療・支援としては、薬物的介入と非薬物的介入があり、薬の副作用による不安感や寂しさが物盗られ妄想につながっている場合もあります。そのため、現在の認知症の支援では非薬物的介入が主流となっています。

編集部

非薬物的介入はどのようなサポートをするのでしょうか?

山田さん

非薬物的介入は、アクティビティを通して支援するのが基本です。まずはご本人の興味や関心を探ります。そして次にアクティビティを選択します。アクティビティは、料理・手工芸・行動療法・オリエンテーションなどたくさんあります。アクティビティを通して「自分にもできた」や「人の役に立った」という体験が、心理的安全や生活の質の向上につながり日々の生活に波及することで、認知症の軽減に役立てていくのが非薬物的介入の目的です。

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