You Tubeなどでもぼったくりバーへの潜入ものがありますが、ぼったくりバーの料金はそもそも法律的に支払わなければならないのでしょうか?
客引き行為を禁止する地域が増えていることから、ぼったくりバーは減ってきたともいえますが、近年では、出会い系アプリなどを用いた新手のキャッチ行為などが横行しています。この手の悪徳行為はいつでも新種が現れますので注意が必要です。
実は、ぼったくりバーから請求される法外な飲食代金は、法的には支払う必要がない場合が多いのです。実際に支払ってしまった場合でもあとでに取り戻せる可能性があります。
今回は、
ぼったくりバーから請求された法外な飲食代金の支払い義務の有無
ぼったくりバー被害に遭ってしまった場合の対応の仕方
などについてまとめてみました。ご参考になれば幸いです。
1、ぼったくりバーとは
「ぼったくり」とは、あるサービスに対して、適正な料金よりも遙かに法外な料金を請求することをいいます。ぼったくりバーというのは、そのような悪質な営業を行っているお店のことをいいます。
たとえば、「飲み物代は1時間飲み放題4000円である」というキャッチの言葉を受けて入店したら、チャージ料金(席料)が1人10万円だった・・・というようなケースは典型的なぼったくり行為といえるでしょう。
ぼったくり被害は、いわゆる「客引き」に巧みに勧められて入店してしまうことがきっかけになる場合が多いものでした。いまでは、多くの繁華街で客引き行為が禁止されたため、客引き行為によるぼったくり被害は激減しているといわれています。
しかし、最近では、出会い系アプリなどによる新手のキャッチ行為のような客引きに代わる新しい勧誘手口も増えていますので、「客引き(キャッチ)についていかなければ安心」と考えてしまうのは危険といえます。
2、ぼったくりバーの法外な請求は支払う必要があるのか?
バーで提供される飲み物やおつまみの代金は、基本的にはそれぞれのお店が自由に価格を決めることができます。実際にも、同じお酒であっても、ある店では1杯500円なのに、別の店では1杯2000円ということは珍しいことではありません。
したがって、相場より高い料金を請求されたとしても、客側がそれを承諾した上でサービスの提供を求めたというのであれば、基本的には適法な請求といえます。
しかし、ぼったくりの場合には、法外な料金を支払うことを「客が同意しているとはいえない」といえます。
(1)錯誤のある契約や詐欺・強迫による意思表示は取り消せる
契約は、それぞれの契約当事者の自由な意思の合致によってはじめて成立します。
しかし、ぼったくり被害に遭った場合には、客側の意思表示に真意に沿わない部分がある場合が少なくないといえます。
たとえば、「1時間飲み放題5000円ぽっきり」という説明を受けていた場合に、チャージ料金が1人10万円もするということを想定できる人はまずいないでしょう。このような場合には、錯誤による取り消しを主張できる余地があります(民法95条)。一般的な人の感覚であれば、法外なチャージ料金を請求されることがわかっていれば、その店で飲食しないという判断を下すことの方が多いといえるからです。
また、お店側の対応によっては、詐欺・強迫(民法96条)によって取り消せる余地もあるといえます。実際に暴力を振るわれていなかったとしても、そのようなことをほのめかされて料金の支払いを承諾してしまった場合には強迫された意思表示といえます。
(2)公序良俗に反する契約は無効
またぼったくりバーから請求された金額によっては、「公序良俗に反する」ものとして、バーとの契約それ自体が無効となる余地があります。
公序良俗というのは、「公の秩序、善良の風俗」という言葉の略語なのですが、簡単にいえば、「社会で当然とされているルールや価値観」といえるでしょう。たとえば、「殺人契約」は公序良俗に反する契約の典型といえます。
ぼったくりバーの場合にも、特別なサービスなどがないにも関わらず、チャージ料金だけで1人10万円というのは、そもそもが「暴利目的」で公序良俗に反する契約と評価できる可能性もあるというわけです。
配信: LEGAL MALL