慣れない大雪が降ったらどうする!?徒歩やクルマでの移動の際の注意点を紹介

写真:PIXTA

冬型の気圧配置や南岸低気圧がもたらす大雪は、ときに交通機関の混乱や大規模停電などを引き起こします。筆者が住む愛媛県でも2022年12月下旬に記録的な大雪となり、停電や災害関連死などが発生しました。

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この記事では、慣れない大雪に対する防災のポイントを解説しています。雪害のリスクや事前にできる防災対策なども紹介していきます。

生活に支障が出る降雪量は地域で異なる

生活に支障が出る雪の量は、豪雪地帯とそうでない地域によって異なります。民間気象情報会社のウェザーニューズが2012年に行ったアンケートによると、日本海側や山間部など雪に慣れているエリアなら25cm、太平洋側や瀬戸内海沿岸など雪に慣れていないエリアだと6cmで生活に影響が出るという結果でした。

また、豪雪地帯とそうでない地域では、積雪に対して困ることへの認識も異なります。豪雪地帯では「凍結」「自転車・車に乗れない」「公共交通機関の遅れ」、そうでない地域では「公共交通機関の遅れ」、「靴、服装選び」、「自転車・車に乗れない」となっています。

出典:株式会社ウェザーニューズ「生活に支障が出る積雪量は? 豪雪地帯は25cm、雪が少ない地域は6cm

このような違いは警報の発表基準にも表れています。たとえば、大雪警報の場合、雪が少ない静岡県の平野部では「12時間降雪の深さが10cm以上」ですが、雪が多い新潟県では「6時間降雪の深さが30cm」です。雪に慣れていない地域では、少量の雪でも生活に大きな支障が出ることから、警報の発表基準が低くなっています。

大雪が降ったときの徒歩移動…「ペンギン歩き」

大雪が降って積もると道路がすべりやすくなります。特に横断歩道の白線の上や車の出入りがある歩道、バスやタクシー乗り場、坂道などは、ほかの場所に比べてすべりやすくなっているため注意が必要です。

雪道の徒歩移動のポイントは、ペンギンのように小さな歩幅でゆっくりそろそろ歩くことです。また、「靴の裏全体を路面につけて歩く」「摩擦係数が高く、すべりにくい長靴をはく」ことで転倒しにくくなります。

道路が凍結すると想像以上にすべります。手袋や帽子などを着用して、転んだときに怪我をしないように対策をしましょう。また建物の近くを歩くときは屋根からの落雪にも注意してください。

大雪が降ったときの運転…「急」な操作を避けよう

大雪時における車の運転は大変危険です。スノータイヤやチェーンがないと、1cmの積雪でもスリップ事故が発生する場合があります。

また、道路が凍結していなくても、雪が踏みつぶされやすい信号交差点、冷えやすい橋げた、日陰になりやすいトンネルの出入り口などは凍結していることもあるので注意してください。

坂道やカーブ、ブレーキ操作をした時などはスリップしやすいため、速度を落として急ブレーキや急アクセルなどは控えましょう。

雪道を走行する場合はスノータイヤが基本です。ただし、年に数えるほどしか雪が降らない地域では、スノータイヤに替える手間がかかります。万が一に備えるなら、比較的安価で保管時にもかさばらないタイヤチェーンを携行しましょう。

タイヤチェーンの装着は慣れていないと難しいです。タイヤチェーンを購入したタイミングにでも装着して確認しておきましょう。

大雪でも帰宅難民になる場合がある

人口が集中している都市圏で交通障害が発生すると、帰宅難民が急増します。ホテルやネットカフェ、カラオケ店などで過ごそうと思っても、すでに予約がいっぱいということもあります。

勤め先から自宅までの距離が遠くなくても、雪道や凍結している道の歩行はいつも以上に時間がかかります。大雪が降っている場合はむやみに動かず、状況を冷静に分析して対策を考えましょう。特に夜道は足元も見えにくいため、昼間よりも危険を伴います。

まずはテレビやインターネットから交通機関の運行情報を確認してください。交通機関がすでに影響を受けている場合は「オフィスで夜を過ごす」「近くの避難所に行く」などの方法もあります。

また、帰宅難民が出るほどの大雪が予想されている場合は、事前にニュースや天気予報などでも注意を促します。情報をこまめにチェックし、家族や勤め先にも帰宅時の対応について相談しておきましょう。

大雪が予想されているときは早めに備えよう

大雪災害は、数日前からある程度予想できる災害です。「強い寒波がやってくる」「南岸低気圧で大雪の可能性がある」とニュースや天気予報で見聞きした場合は、早めに備えましょう。

また、普段は雪が少ない地域でも、風向きのちょっとした違いで大雪になることもあります。

実際、筆者が住む愛媛県伊予市の平野部は普段は雪が少ないところです。しかし、2022年12月23日はいつもより風向きが西になったことで平野部にも雪雲が流れ込み、ところどころで積雪がありました。山間部は30cmを超える大雪となり、主要な国道や高速道路も通行止めとなりました。地域の方々は「ここまで大雪になるとは思わなかった」と口をそろえます。災害は発生してからようやく気づくものです。

大雪災害は雪に慣れていない地域ほど混乱も大きくなります。「今回もどうせ降らないだろう」と過信せず、十分すぎる雪害対策をしましょう。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志

防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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