定年退職のタイミングが、人生で一番貯蓄の多い時期といわれることがあります。そう聞くと、実際に世間の人々は定年時点でどれくらいの資産を有しているのか、気になるところではないでしょうか。
そこで今回は、定年退職時点での貯蓄額の分布について見ていきます。
定年時点で貯蓄4000万円の世帯はどれくらいいる?
昨今では再雇用制度や定年延長などにより60歳以降も働く方が増えているとはいえ、まだまだ定年年齢を60歳としている企業がほとんどです。今回は定年退職を60歳で迎えると仮定し、定年時点での貯蓄額の分布について見ていきます。
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社の「2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によれば、2022年に60歳を迎える方のうち貯蓄額3000万円以上5000万円未満の方は8.6%となっています。参考までに、平均貯蓄額は3122万円と4000万円をやや下回っています。
図表
出典:プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査
また、「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和3年調査結果」によれば、金融資産3000万円以上を有する、世帯主60歳代の世帯は全体の21.4%となっています。こちらも平均値は2265万円と4000万円を下回っています。
統計のサンプル数や調査方法といった違いも影響していますが、預貯金含む総資産として4000万円を有する世帯は案外多く、定年時点でおそらく全体の20%前後に及ぶと推定されます。
十分な貯蓄がある世帯が存在する一方、あまり貯蓄がない世帯も存在
預貯金や金融資産が4000万円ある世帯が案外多く存在する一方で、十分に貯蓄できていない世帯も少なくありません。
前述の「2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によれば、貯蓄額として最も多かったのは100万円未満の方で全体の23%を占め、貯蓄額500万円未満にまで範囲を広げると全体の38%が該当します。
また、「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和3年調査結果」によれば、世帯主60歳代の世帯における金融資産保有額の中央値は700万円となっています。
以上のことから考えると、4000万円以上の貯蓄がある世帯が少なからず存在する一方で、貯蓄額が500万円未満の方や総資産が700万円以下となる世帯も多く存在し、定年退職時点での預貯金額や資産額には大きな格差が生じているといえます。
配信: ファイナンシャルフィールド