肝細胞がんは、肝臓にがんができる病気になります。自覚症状がほとんどないため、発覚が遅れてしまう場合が多いです。
慢性肝炎や肝硬変が原因で発症するため、肝炎ウイルスの感染からがんになるケースがよくみられます。また、飲酒などの生活習慣も発症の要因です。
本記事では、肝細胞がんの基本情報に加え、発症の原因・治療方法などを紹介しています。
病気の治療や予防には、その病気の知識を身に付けることが大切です。ぜひ本記事を読んで、肝細胞がんの治療などに役立ててください。
肝細胞がんとは?
肝細胞がんとはどんな病気ですか?
肝細胞がんは、肝臓に発症するがんの1つです。肝臓にできるがんは「肝がん」と呼ばれ、大きく2つの種類に分類されます。肝臓から発症したものが「原発性肝がん」、他の臓器のがんが転移してきたものが「転移性肝がん」です。
肝細胞がんは原発性肝がんに含まれており、その内のおよそ95%を占めています。肝臓の大部分を構成する肝細胞にがんが発生する病気です。
肝細胞がんにみられる症状が知りたいです。
初期の段階では、ほとんど自覚症状はみられません。病状が進行すると、腹痛・腹部のしこり・腹部圧迫感といった症状が現れます。肝不全の症状がみられる場合もあり、黄疸・腹水・むくみなどが生じることもあるでしょう。
しかし、これらの症状だけでがんと判断することは難しく、発見は非常に困難です。
肝細胞がんは何が原因で発症するのでしょうか?
肝臓の基礎疾患にかかっている方が発症する場合が多いです。患者さんの内、およそ80%の方が肝炎ウイルスにかかっています。
B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染することにより、慢性肝炎や肝硬変が発症して肝細胞がんを引き起こすのです。また、生活習慣が原因でがんになる可能性もあります。お酒の飲みすぎで発症するアルコール性肝硬変や、肥満からなる脂肪肝などが原因です。
特に糖尿病をもっていると発症しやすくなると考えられています。
肝細胞がん発症は年齢とも関係ありますか?
発症率は年配の方が高い傾向にあります。増加するのは男性が45歳、女性が55歳の頃です。
男性の方が発症しやすく、女性のおよそ3倍といわれています。また、肝炎ウイルスによる慢性肝炎に長期間かかっていると発症しやすいです。
10〜20年ほど罹患していると、がんの発生率が高くなります。
肝細胞がんの受診と検査方法
肝細胞がんはどのような検査をするのでしょうか?
肝細胞がんを診断するためには、様々な検査が必要になります。最初に、がんの原因となる慢性肝炎や肝硬変が生じていないかを血液検査で調べます。この検査で異常がみられると、がんを発症している可能性が高くなるでしょう。
がんの検査で主に行われるのは、エコー検査・CT検査・MRI検査・腫瘍マーカー検査です。エコー検査は手軽に行いやすいですが、腫瘍がある場所によっては確認することができません。そのため、CTやMRIを用いてより詳しく調べていきます。ただし、画像だけでは診断をすることが難しいため、腫瘍マーカー検査も行います。腫瘍の悪性・良性を判断するために、針生検を行う場合もあるでしょう。
針生検とは腫瘍の細胞を針で採取し詳しく調べる検査です。以上の検査の結果を総合的にみて診断します。
肝臓の病気は初期症状に気づかないことも多いと聞いたのですが…
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。病変があっても自覚症状がほとんど現れないためです。
肝細胞がんの場合も同じで、自覚症状がみられるのは病状がかなり進行してからになります。そのため、早期発見をすることが大変難しい病気です。初期の段階で発見するには、定期健診を受けることが大切になります。
特に慢性肝炎にかかっている方は発症のリスクが高いため、定期的に検査を受けるようにしましょう。
何科を受診したら良いのでしょう?
肝がんの疑いがある場合は、消化器科を受診するようにしましょう。また、慢性肝炎にかかっている方は、専門施設を受診することをおすすめします。
肝炎はがんを引き起こす要因となるものなので、早めに治療を行うようにしましょう。
肝細胞がんのステージについて教えてください。
がんのステージは、腫瘍の大きさ・個数・転移の有無によって判別されます。基本的には、腫瘍は2㎝以下か・個数は1つだけであるか・血管や胆管に広がっていないかがみられます。肝臓以外の場所に腫瘍があるかもみられるでしょう。
ただし、ステージの分類法には国際分類と国内分類があります。分類法によってステージの病状が異なる部分もあるため、どの分類法で判別しているのかを意識するようにしましょう。
配信: Medical DOC