労災保険に通院費をスムーズに請求するための4つのポイント

労災保険に通院費をスムーズに請求するための4つのポイント

3、労災の通院費に関する注意点

(1)自家用車の場合にガソリン代や駐車場の代金も含めて請求できる

労災保険では、傷病労働者が診療を受けるために電車、バス、自家用車などで医療機関へ赴くために要した費用について、当該労働者の傷病の状況等からみて、「一般に必要と認められる範囲」で現実に支給されています。

したがって、自家用車で通院するような場合には、通院に必要となるガソリン代や駐車場の利用料を含めて請求することができます。

(2)タクシーでの通院は「必要と認められる限度」で支給

タクシーを利用して通院した場合には限定的に通院費が支給されることになっています。

まず、労災保険法や関連通達もタクシーを通院費対象の交通機関として排除していません。

そして、公共交通機関の領収書が添付資料として要求されていないことと比較してタクシーについては領収書を添付すれば必要な範囲で認められると考えられています。

ここで、「必要と認められる限度」とは、医師の判断で公共交通機関を利用することが困難であると判断した場合や労働基準監督署が必要性を認めた場合があてはまるでしょう。

まずは医師の判断を仰ぐ必要があるでしょう。

(3)付添人の通院費も請求できる

移送費として支給する費用については、被災労働者の傷病の状況からみて一般的に必要と認められるもので傷病労働者が現実に支出する費用です。

傷病労働者の移送に従事する者(付添看護人)に対して一定の日当が支給されます。

付添人への日当については以下のように計算されています。

まず、付添看護人の日当は、当該地域において一般に看護人の日当として支払われている料金を基準として計算した額を限度として支給されます。

また、傷病労働者と同一事業所に勤務する労働者が移送に従事した場合の日当は、当該労働者の通常の労働日の賃金を基準として計算した額を限度として支給されます。

他方、傷病労働者の配偶者・二親等内の血族が移送に従事する場合には、当該親族にかかわる費用のうち、日当は支給されません。

4、労災の交通費請求を含め労災問題で不安があったら弁護士に相談しよう

(1)弁護士に依頼することで迅速に労災申請を行うことができる

前提として会社が労災保険給付の申請手続に積極的に協力してくれるとは限りません。

会社の中には保険料が未払の場合や労働災害が生じたことを外部や労働基準監督署に知れ渡らないように労災保険給付の申請手続に消極的な場合がありえます。

そのようなケースでは、会社が被災労働者側に一方的な責任があるかのような対応をとり、被災労働者が不当な不利益を被る場合も考えられます。

他方で、弁護士に依頼することで労災保険の補償給付の申請について迅速かつ適切なアドバイスやサポートを受けることができます。

労働災害が発生したあとにはすぐに弁護士に相談し弁護士が手続に関与することで適切・迅速に申請手続を行うことができ、通院費を含む労災保険金を早期に受け取れる可能性も高まります。

(2)労災認定を受ける場合にも必要な証拠を集めてもらえる

傷病を労災として認定してもらうためには、労働災害と傷病の間の因果関係を証明しなければなりません。

そのためには、医師の診断書やその他労働災害に関係する書類や記録が必要になる可能性が高いです。

この点、会社が労災給付の申請に協力してくれる場合には大きな問題にはなりませんが、労災隠しなどなかなか資料や記録を開示してくれない場合には被災労働者は労災申請をすることができなくなってしまいます。

このような場合、どのような証拠がどこにあって、どのように請求すれば取得することができるのか、弁護士であれば適切に依頼者にアドバイスすることができます。

(3)後遺障害認定を適切に受けることができる

被災労働者の傷病の程度が著しい場合には後遺障害の認定を受ける必要があります。後遺障害認定を受けることで傷害補償給付を受け取ることができるようになります。

そして、支給される金額は後遺障害の等級に応じて決定されます。

後遺障害の認定のために重要となるのは医師の診断書です。診断書に十分に被災労働者の症状が記載されていなければ正確な後遺障害認定を受けることはできません。

たしかに医師は医療に関する専門家ですが、必ずしも後遺障害の診断書の作成に精通しているとは限りません。

診断書の内容が過不足なく労働者の傷病状況を記載できているか否かについては弁護士に確認してもらうことで正確な後遺障害等級に認定を受けることができるようになります。

(4)会社に対しても適切な請求をしてもらうことができる

労働災害の発生に会社側に責任がある場合には労災保険給付のみならず、会社に対して損害賠償請求ができる場合もあります。

会社としては労働者が労災保険給付を受けた場合にはそれ以上の補償は必要がないなどと主張してくることもありえます。

しかし、弁護士に依頼することで,会社への損害賠償請求を適切に行ってもらえます。

損害賠償のために必要となる証拠の収集や、必要な会社との交渉などは弁護士に一任することができます。

会社が任意での話し合いに応じない場合には労働審判や訴訟を提起するなど裁判手続に移行する可能性がありますが、弁護士に依頼しておけば書面の作成や出廷についてはすべて任せつことができます。

また、会社とのやり取りの早い段階で弁護士が介入しておくことで損害賠償の落としどころについて会社と十分に交渉して早期に解決に導ける可能性もあります。

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