保釈支援協会とは?保釈金が払えないときの対処法を弁護士が解説

保釈支援協会とは?保釈金が払えないときの対処法を弁護士が解説

日本保釈支援協会とは、刑事被告人が保釈制度を利用する際の障壁となる保釈保証金の立て替え支援・保釈制度についての相談サポートをする一般社団法人のことです。

身柄拘束期間が不当に長期化すると被告人の心的ストレスが過大になるだけではなく、社会復帰の大きな妨げになるので、保釈保証金の融資を行っていない日本の金融機関に代わって、日本保釈支援協会が被告人の支援を行っています。

ただし、日本保釈支援協会の保釈金立替制度は無条件で利用できるわけではなく、制度上の注意点や審査内容に注意をしなければいけません。

そこで今回は、

日本保釈支援協会の役割や利用方法。利用条件
日本保釈支援協会の保証金立替制度の審査に落ちたときの対処法
刑事手続きにおける保釈制度の概要

などについて、弁護士がわかりやすく解説します。

保釈制度を利用することで身体拘束を免れたいと考えている被告人・被告人のご家族や、保釈金の金策についてお悩みの方の手助けとなれば幸いです。

保釈金について詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧ください。

1、保釈支援協会の利用をお考えの方へ~保釈制度についておさらい

日本保釈支援協会の保釈保証金立替制度の利用をご検討中の方のために、まずは刑事手続きにおける保釈人制度について解説します。

保釈制度の内容に踏み込む前に、まずは保釈されるメリット・保釈されずに身柄拘束期間が長期化するデメリットを確認しておきましょう。

早期の保釈によって得られるメリット

保釈されないことで生じるデメリット

・勾留期間が短いほど通勤や通学への悪影響を小さくできる

・刑事手続き終了後の社会復帰に向けて早いタイミングで再就職活動をスタートできる

・家計のひっ迫リスクを軽減できる

・弁護人との裁判準備の時間を作りやすい

・懲役や禁錮前に家族や親族との時間を作れる

・服役前に丁寧に身辺整理を行える

・勾留期間が長期化すると職場に言い訳できず解雇リスクが高まる

・履歴書の空白期間が長いほど再就職は困難になる

・再就職も叶わず社会的に追いやられると再犯リスクが高まる

・弁護人との打ち合わせ時間を用意できないと証人尋問などの練習ができない

・家族や子どもをケアする時間がないので、家庭崩壊や子どもの登校拒否などのリスクが高まる

(1)保釈とは

日本の刑事訴訟手続きにおける保釈とは、「一定額の保釈保証金の納付を条件として勾留の執行を停止すること」です。

身体拘束期間の不当な長期化が及ぼす被告人へのさまざまなデメリットを軽減する趣旨に基づき制度設計されています。

まず、保釈請求権者(被告人・弁護人・法定代理人・保佐人・配偶者・直系親族・兄弟姉妹のこと。刑事訴訟法第87条1項)が裁判所に対して保釈の請求をしたときには、以下の例外事情が存在しない限り、保釈請求が認められるのが原則です(必要的保釈または権利保釈。刑事訴訟法第89条本文)。

嫌疑をかけられている犯罪の法定刑が死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁固であるとき
被告人が過去に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁固の有罪宣告を受けたことがあるとき
被告人が常習的に長期3年以上の懲役・禁固に相当する罪を犯したものであるとき
被告人に罪証隠滅のおそれがあるとき
被告人が被害者や事件関係者などの財産に害を与えたり、強迫等の行為に踏み出すおそれがあると認められるとき
被告人の氏名・住所が明らかでないとき

また、保釈請求権者からの請求がない場合でも、裁判所が適当と認めるときには(逃亡や罪証隠滅のおそれがない、健康上や経済上の理由があるなど)、裁判官の自由裁量で保釈決定が下されます(職権による保釈。刑事訴訟法第90条)。

請求による保釈・職権による保釈のいずれについても、裁判所が保釈を許す場合には身柄拘束が解かれることになりますが、事案の状況・経緯次第では、保釈後の住居や移動範囲などについて制限が加えられる可能性があります(刑事訴訟法第93条3項)。

保釈決定時に附された条件を遵守しなければ、保釈決定が取り消されて保釈保証金の返還を受けられないので、保釈後の生活には注意が必要です。

(2)保釈金とは

保釈許可決定が下されるときには、保釈保証金額が定められます(刑事訴訟法第93条1項)。

保釈保証金を納付しない限り、保釈許可決定は執行されません(刑事訴訟法第94条1項)。

保証金が納付されると裁判所はその旨を検察官に通知し、検察官の指揮のもと、被告人の身柄が釈放されます(刑事訴訟法第472条1項本文)。

保釈保証金額の決定権者は裁判所です。犯罪の性質・情状・証拠の証明力・被告人の性格・資産状況などを総合的に考慮して、「被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額」が提示されます(刑事訴訟法第93条2項)。

なぜなら、保釈制度とは、釈放された被告人が正当な理由がないのに公判期日に出頭しないときに保釈決定を取り消して保釈保証金を没収するという心理的な強制力を働かせて被告人の出頭を担保しようとする制度だからです(刑事訴訟法第96条3項)。

保釈保証金を納付するのは保釈請求権者に限られません(刑事訴訟法第94条2項)。

また、有価証券・裁判所が適当と認めた被告人以外の者の差し出した保証書をもって保証金に代えることもできます(刑事訴訟法第94条3項)。

したがって、保釈制度によって早期の身柄解放を目指す被告人にとっては、保釈許可決定の獲得と同時に、保釈保証金の金策に注力するべきでしょう。

なお、裁判所からの出頭要請に応じて裁判手続きを満了すれば、納付済みの保釈保証金は判決言い渡し日から数日~1週間程度で全額返金されるのでご安心ください。

(3)保釈金の相場

保釈保証金の一般的な相場は150万円~300万円程度と言われています。

ただし、あくまでも保釈保証金額は事案の性質や被告人の資産総額、身元引受人の有無などを総合的に考慮して決定されるものなので、状況次第ではさらに高額の保釈保証金が提示される可能性もあります。

実際、重大犯罪や資産家や芸能人が事件を起こしたときには、数千万円、数億円規模の保釈保証金額になることも少なくありません。

2、保釈金が払えないときに利用できる保釈支援協会とは

日本保釈支援協会とは、保釈保証金を準備できずに身柄が解放されず、社会生活への復帰を実現できない被告人を支援する目的で運営されている一般社団法人です。

保釈保証金額は被告人の出頭を担保する趣旨で定められるので、そう簡単に支払える金額が提示される可能性は低いです。

実際、「数日以内に数百万円を支払え」と言われて対応できるご家庭は少ないでしょう。

これでは、保釈制度を利用できる被告人が限られてしまい、制度自体が形骸化するおそれがあります。

そこで、保釈保証金を準備できない被告人のために、日本保釈支援協会が保釈保証金を立て替えたり、保釈保証書を発行したりします。これによって被告人が釈放される道が現実的になるでしょう。

日本保釈支援協会の概要は以下の通りです。

被疑者及び刑事被告人の基本的人権を擁護するために、保釈保証金の立替や保釈手続きの助言・指導、刑事手続き終了後の社会復帰支援のための職業紹介サービスなど、必要な事業が幅広く展開されています。

名称

一般社団法人 日本保釈支援協会(Japan Bail Support Association)

代表理事

弁護士 大森勇一(第二東京弁護士会所属)

設立

平成16年4月27日

住所

〒103-0026

東京都中央区日本橋兜町14-10 兜ビル8F

TEL

03-3663-6655(9:00~17:00 土日祝日を除く)

FAX

03-3663-6658

E-mail

info@hosyaku.gr.jp

許可番号

職業紹介事業許可 13-ユ-314143

公式HP

https://www.hosyaku.gr.jp/

関連記事: