皆さんは、プラセボ効果について聞いたことがありますでしょうか。プラセボは「偽薬」とも言われており、有効成分が含まれない薬で治療の効果を得られるというのが一般的に言われていることです。一見、全く意味がないように感じますが、なぜ効果があるのでしょうか。プラセボ効果が起こるメカニズムも含め、薬剤師の宮本さんに伺いました。
そもそもプラセボ効果とは? 偽薬を服用することに何の意味があるのか
編集部
プラセボ効果とは、どのようなものですか?
宮本さん
プラセボ効果は、プラシーボ効果ということもありますが、有効成分が入っていない薬を患者さんに投与して、有効成分がある薬の時と比較して、薬の成分以外の作用によって症状が改善したり、副作用が出たりするなどの効果が発現することを言います。
編集部
どうして有効成分がないのに効果が出るのでしょう?
宮本さん
もともと人に備わっている自然治癒力によって治療できる機能を持っています。それを応用したのがプラセボ効果になります。また、薬を飲んだ気分になることで安心感や信頼感も影響して、有効成分が入っていない薬でも効果を感じると考えられています。
編集部
騙しているわけでないのでしょうか?
宮本さん
確かに、有効成分が入っていない薬という意味では騙していることになると思います。しかし、有効成分がある薬であっても、少なからず薬を飲んだ安心感が症状を紛らわせてくれるところがあります。また、薬を飲まないと不安という方へ向けた食用偽薬も販売されていることから、薬に依存するのを避けることにもつながります。
編集部
プラセボ効果は具体的にどのような症状に有効なのでしょうか?
宮本さん
精神的なものに関連する症状に特に有効です。例えば、精神性の痛みや不眠、下痢などは効果を発揮しやすいと言えるでしょう。
プラセボは新薬開発にも有効? どのような場面で使われているのか
編集部
ほかにプラセボはどのような際に使われるのですか?
宮本さん
新薬の研究を行う際にも用いられています。新薬が私たちの日常で使えるようになるまでには治験を行う必要があります。その際に、新薬を飲むグループと偽薬(プラセボ)を飲むグループに分けて比較する際に使われます。
編集部
なぜプラセボと比較する必要があるのでしょう?
宮本さん
新薬の有効性と安全性を確認するための比較対象としてプラセボを服用します。これによって、新薬に含まれる有効成分の効果や副作用によるものかがはっきり分かるようになります。
編集部
臨床試験ではどのような結果が出ればいいのでしょうか?
宮本さん
新薬を投与したときに有効性が現れれば、プラセボよりも効果があり、有効成分が有用なものとして評価されます。また、副作用に関してもプラセボでも生じたものに関しては、有効成分による透く作用のつながりが薄いと評価できます。
配信: Medical DOC