給食後の歯磨きは必要?できない場合の対策も解説 #歯科衛生士の教室

給食後の歯磨きは必要?できない場合の対策も解説 #歯科衛生士の教室

子どもの虫歯予防には「食後の歯磨きが大事」というイメージを持っている保護者の方も多いのではないでしょうか?
しかし、保育園や幼稚園、小学校によっては、事故に繫がるという理由で給食後の歯磨きをしていない場合も多いです。
嫌がる子をどうにかなだめて1日3回の歯磨きを続けてきた方からすると、給食後に歯磨きをしないのは今までの苦労が水の泡になりそうで心配になりますよね。

そこで今回は、給食後の歯磨きについて解説していきます。また、歯磨きをしないケースの対策も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

給食後は歯磨きしなくても大丈夫?


(画像出典)PIXTA

給食後の歯磨きをするほうがベストなのは事実ですが、しなくても大丈夫です。その理由は、次の3つです。

すぐに虫歯になるわけではないから

虫歯は、食後すぐに歯磨きをしないことが原因でできるわけではありません。
虫歯の原因は、次の3つの要素が長時間重なり続けることです。

  • 歯質の弱さ……歯を構成している成分が弱いこと
  • 虫歯菌(細菌)……歯を溶かす成分(酸)を出す虫歯菌
  • 糖……虫歯菌のエサ(菌は糖を栄養にして繁殖する)

給食後に歯磨きをしないからといって、すぐに虫歯になるとは考えにくいです。

唾液が歯を守ってくれるから

唾液には、さまざまな働きがあります。特に、次の3つの作用が虫歯予防に効果的です。

自浄作用……食べかすを洗い流す作用

食事中や給食後には、唾液が多く分泌されます。
この唾液が、食べかすを洗い流し、口内に留まるのを防いでくれます。

抗菌作用……虫歯菌の繁殖を防ぐ作用

唾液は、虫歯菌(細菌)の繁殖を抑えます。虫歯予防になるだけでなく、口臭予防にもなります。

再石灰化作用…歯が溶けた部分を新しくする作用

食事に含まれる酸は歯を溶かしますが(脱灰)、唾液に含まれるカルシウムやリンが、脱灰を修復する働き(再石灰化)をします。

歯磨きは量より質だから

歯には、歯垢(歯の表面に付いている黄色い汚れ)が付着しています。虫歯菌は歯垢の中で繁殖し、活発になります。

歯磨きで大事なのは、この歯垢をしっかり落とすこと。でも給食後の時間は限られていますし、周りに友達もいるので歯磨きに集中しづらい子が多いでしょう。短時間の雑な歯磨きに虫歯予防の効果は乏しく、歯磨きしないのとあまり変わりません。

園や学校で雑な歯磨きをするよりも、自宅での歯磨きをしっかりするほうが虫歯予防には効果的なのです。。

給食後に歯磨きしないときの対策


(画像出典)PIXTA

給食後に歯磨きをしなくても大丈夫。と言われても、できるだけ虫歯になるリスクを減らしたいですよね。園や学校で給食後の歯磨きを実施していない場合には、お子さんと一緒に次のような習慣づけを心がけてみてください。

よく噛むこと

先述したように、唾液には自浄作用があります。唾液の分泌量が多いほど食べかすを洗い流す効果は高くなり、歯垢が作られにくくなります。
そして、たくさん噛むことで唾液が出るところ(唾液腺)が刺激されて唾液の分泌量が多くなるので、よく噛むことが虫歯予防になります。
日本歯科医師会では、一口で30回を目安に噛むことを推奨しています。日頃から、一口30回以上噛むように習慣づけしていると良いでしょう。

うがいをする、食後に水やお茶を飲む

唾液には、口内の食べかすを洗い流す作用がありますが、それでも口の中の不快感が強かったり、歯磨きしないのが気になったりする場合には、うがいがおすすめです。

ここでのうがいとは、水を口に含んですすぐ「ブクブクうがい」のことです。歯垢は洗い流せませんが、虫歯菌のエサになる食べかすをある程度洗い流せます。
ブクブクうがいは、次のように行うのが基本です。

①水を口に含む
②口を閉じ、頬や鼻の下(上唇と歯茎の間)を膨らませる
③数回、ブクブクと動かす
④水を吐き出す
⑤①~④を2~3回繰り返す

また、ブクブクうがいほどではありませんが、給食後に水やお茶を飲むのも食べかすを洗い流す効果が期待できます。

ちなみに、喉に水を溜める方法は、“ガラガラうがい”で、こちらは風邪予防が目的になります。

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