親権問題を解決!子供の親権を獲得するために知っておくべき全知識

親権問題を解決!子供の親権を獲得するために知っておくべき全知識

7、子供の親権についてよくあるQ&A

子供の親権の獲得については、他にも知っておいていただきたいことがいくつかあります。

ここでは、よくある質問とその答えを8つご紹介します。

(1)専業主婦などで収入が少なくても親権はとれる?

結論からいうと、専業主婦でも親権はとれます。

今まであなたが中心になって子供を養育していて、愛情を十分に注いでいるのであれば、親権を取れる可能性は高いといえます。

子育てに要するお金の不足を補うために「養育費」という制度がありますので、親権者の収入が少なくても、子供を引き取って養育していくことはできると考えられているからです。

もっとも、養育費はあくまでも子育てに充てるために相手方に請求できるお金であり、離婚後のあなた自身の生活まで保障してもらえるわけではありません。

したがって、離婚後も無収入で自分の生活もままならないという場合には、親権が取れない可能性があります。

離婚後は、両親などから十分な援助を受けられる場合は別として、ある程度は仕事をして経済的に自立する必要があります。

(2)父親が親権を獲得するのは無理?

父親でも親権を獲得することは可能です。現状では母親が親権を獲得するケースがほとんどですが、実際に父親が親権を獲得しているケースもあります。

父親が親権を獲得する方法は、前記「3」でご紹介した8つのポイントを可能な限り満たすことです。

今まで仕事が忙しくて子供と過ごす時間をあまり取れていなかったのであれば、離婚を切り出す前に時間をかけてその状況を改善した方が、親権を獲得できる可能性が高まります。

最大のポイントは「父親だから親権は無理」「母親には勝てない」などといって諦めるのではなく、子供を愛する気持ちを大切にして、できる限りの努力をすることです。

(3)自分の浮気が原因で離婚した場合でも親権は取れる?

「離婚の原因が自分にある場合、やっぱり親権者を決める上で不利になってしまうのかな…」という点が気になる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、結論から言うとその心配は基本的に不要です。

たとえ離婚の原因が自分の浮気にある場合でも、その事実と親権者の決定は基本的に別の問題として扱われます。

夫婦の問題に対して落ち度があったかどうかに関わらず、裁判所が親権者を指定する上で考慮するのはあくまでも前記「3」でご紹介した8つのポイントになりますので、諦めずにこれまでの監護の状況や子供への愛情をしっかり主張していきましょう。

ただし、浮気相手に夢中になるあまり小さい子供を長時間1人で放置した、浮気相手が子供に暴力を振るっていたなどのケースでは、親権を与えることで子供にさらなる危害が及ぶと判断される=親権が取れない可能性もあります。

配偶者もその点を武器に自分のほうが親権者にふさわしいと主張してくることが多いので、「浮気中も子供をないがしろにしたことはない」「いつでも子供のことを最優先で考えてきた」という反論の準備をあわせて進めておきましょう。

(4)浪費癖があっても親権は取れる?

ご自身に浪費癖があっても、親権をとることは可能です。

しかし、浪費癖のために借金を抱えていて離婚後の生活がままならない場合や、遊びで浪費していたことで子育てがおろそかになっていたような場合には、親権を取れない可能性もあります。

より確実に親権をとるためには、浪費をしていても子育てに手を抜くことはなかったことを主張するとともに、今後は節度ある生活を心がけることがポイントとなります。

(5)兄弟(姉妹)で親権を分けてもいい?

たとえば子供が2人いる場合、上の子の親権は父親に、下の子の親権は母親に、というように兄弟(姉妹)で親権を分けることも可能です。

ただし、一般的にこれは望ましいことではありません。

兄弟(姉妹)は一緒に育てる方が子供にとって利益が大きいと考えられるからです。

この考え方のことを「兄弟(姉妹)不分離の原則」といいます。

やはり、親権を決める際には親の都合ではなく、子供の利益を第一に考えなければなりません。

離婚協議で合意すれば兄弟(姉妹)で親権を分けることもできますが、調停や裁判では、基本的に分離は認められません。

ただし、すでに長期間にわたって兄弟(姉妹)が離れて別居している場合や、兄弟(姉妹)が15歳以上で自発的に希望している場合には、分離が認められることもあります。

(6)親権者が決まったら子供の戸籍はどうなる?

両親が離婚して親権者が決まっても、子供の戸籍は原則として元のまま残ります。

つまり、母親が父親の戸籍から抜ける場合、たとえ母親が親権者になったとしても子供の戸籍は父親の戸籍のままということです。

戸籍は「いつ誰が誰と誰の子として生まれた」「いつ誰が誰と結婚(離婚)した」という身分関係が記録されているものです。

親権とは無関係に作成されているので、親権者の指定と子供の戸籍は連動しないのです。

上記のケースで子供を母親の戸籍に入れるためには、以下の手順が必要となります。

母親が新しい戸籍を作る
家庭裁判所で「子の氏の変更許可」の審判を受ける
審判で許可されたら、役所へ子供の入籍届をする

(7)親権を獲得できなくても子どもの扶養義務はある?

親権者でなくなった後も法律上の親子関係は続きますので、扶養義務は続きます。

子供が成熟するまでは養育費を支払う義務がありますし(民法第766条1項、2項)、成熟した後も場合によっては直系血族としての扶養義務を果たさなければならないことがあります(同法第877条1項)。

したがって、たとえ親権を獲得できないとしても、子供の将来には責任を持つ必要があるといえます。

(8)成人した子とどちらが同居するかでもめたときの対処法は?

子供が成人したら親権は消滅します。

しかし、実際には両親が離婚する際に、成人した子とどちらが同居するかでもめることも少なくありません。

その場合、結論としては子の意思に委ねるしかありません。

子が成人した以上、すべてのことは自分の意思で決めるべきものだからです。

子に自分を選んでもらうためには、やはり、これまでにどれだけ愛情をかけて子供を育ててきたかがポイントとなるでしょう。

8、親権を決める前に子供を連れ去られたときの対処法

もし、親権を決める前に配偶者が無断で子供を連れ去った場合は、一刻も早く適法な手段で子供を取り戻すことが重要となります。

なぜなら、相手方が実際に子供を養育する状態が長く続くと「継続性の原則」により、結局は相手方が親権を獲得してしまう可能性が高くなってしまうからです。

ただ、子供を連れ去られたからといっても、実力行使で取り戻す行為は絶対に控えてください。

両親が子供の取り合いをすることは子供にとって大きな精神的負担となってしまうので、親権争いで決定的に不利となってしまうおそれがあります。

無断で子供を連れ去る行為は、場合によっては「未成年者略取罪」(刑法第224条)に該当しうるので、相手方に対して警察に通報すると警告しつつ、子供を元に戻すように説得すると良いでしょう。

それでも子供を取り戻せない場合には、家庭裁判所へ「監護者指定・子の引渡し審判」を申し立てます。

ただ、この審判には時間がかかりますので、緊急的に子供を取り戻す手段として「審判前の保全処分」も併せて申し立てましょう。

また、連れ去り行為は親権者としてふさわしくない行為のひとつです。

しかし、相手方連れ去り後に子供を平穏に養育し続けている場合には、調停や裁判では「現在の平穏な養育環境を継続する方が望ましい」と判断されやすい傾向にあります。

そのため、上記のように適法な手段で一刻も早く子供を取り戻すようにしましょう。

なお、外国人の妻が子供を母国に連れ去るような行為は「ハーグ条約」で禁止されています。

日本もハーグ条約に署名しており、条約を実施するための法律もありますので、国際的な子供の連れ去りのケースでは、その法律に基づいて子供の返還を求めることになります。

9、いったん親権を獲得しても失う場合~親権喪失と親権停止

いったん親権を獲得しても失わせる制度として、次の2つがあります。

親権喪失
親権停止

親権喪失とは、親権者が子どもに対して虐待や世話を放棄していたり、あるいは親権者が重度の疾病やアルコール・薬物中毒などによって適切に親権を行使することができないような場合に、強制的に親権者でなくする制度のことです。

親権停止は、親権を喪失させなければならないほどではないものの、不適当な親権の行使により子の利益が害されている場合や、親権者による親権の行使が難しい場合に、一定の期間(最長2年)まで親権を停止して親権者と子どもを引き離す制度です。

どちらも、子どもの親族などが審判を申し立てることによって家庭裁判所の判断が下されます。

あなたが親権を獲得できなかった場合、面会交流などで子どもの様子がおかしいと感じたら、元配偶者による養育状況を確認して、必要であれば審判の申し立てを検討しましょう。

一方、あなたが親権を獲得できた場合は、親権喪失や親権停止の審判を申し立てられることがないように、しっかりと子育てをしていきましょう。

10、親権の獲得を目指すなら弁護士へ相談してみよう|相談するメリット

ここまで子供の親権を獲得する上で押さえておきたいポイントを色々とご紹介してきましたが、実際に相手と交渉を進める際には、弁護士を味方につけておくことが何よりのアドバンテージになります。

あらかじめ弁護士に相談しておくと、

有利に話を進められる=親権獲得の可能性がアップする
スムーズな問題解決を目指すことができる
調停や裁判に発展したときにも、煩わしい手続きから解放される

といったメリットを得ることができ、みなさんの状況に合わせたアドバイスを適宜行ってもらえるところが最大の強みです。

「絶対に子供を手放したくない」「何が何でも親権を取りたい」という切実な思いがある方は、ぜひ交渉を始める前に弁護士に依頼し、具体的な戦略を練っていきましょう。

まとめ

親権を獲得できれば、子供と一緒に暮らして子育ての喜びを味わえる反面で、とても重い責任を負わなければならないため、大変な思いをすることも多いでしょう。

親権の協議をする際には、どちらが親権者となるのが子供にとって幸せかを第一に考えて配慮する必要があります。

どうしても親権を獲得したいのであれば、重い責任を負っていく覚悟を持ち、「自分こそが子供を幸せに育てる親権者としてふさわしい」と言える自信がなければなりません。

この姿勢がなく、ただ子供と離れたくない一心で親権を主張しても、親権を獲得することは難しいかもしれません。

親権争いで困ったことがあれば、ひとりで悩まずに弁護士の力を借りることをおすすめします。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。

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