督促状は無視しちゃだめ!督促状が届いた際の対処法を弁護士が解説

督促状は無視しちゃだめ!督促状が届いた際の対処法を弁護士が解説

督促状とは、借金の返済や様々な料金、税金、公共料金などの支払いを滞納したときに送られてくる書類のことです。

書かれている内容は、支払いが遅れていることのお知らせと、支払いの催促です。

督促状が届いても、滞納した債務をすぐに支払えば全く問題はありません。

しかし、支払いたくても手持ちのお金が足りないこともあるでしょう。そんな場合はどうなってしまうのでしょうか。

そこで今回は、

督促状を無視するとどうなるのか
支払うお金がないときはどうすればよいのか
そもそも返済しきれない借金をどうすればよいのか

について解説していきます。

督促状を受け取ったものの手持ちのお金に余裕がなく、不安にさいなまれている方のご参考になれば幸いです。

なお、督促状の差出人は、一般的に、そ貸金業者、または代理人弁護士です。

もし、裁判所からの場合は注意してください。それが「支払督促」であれば、2週間何もしないでいると債務が確定してしまい、財産を差し押さえられる可能性があります。

借金が返せない場合は以下の関連記事をご覧ください。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、督促状が届いても支払わないとどうなるか

督促状を受け取った方が最も気になるのは、このまま債務を支払わなければどうなってしまうのかということでしょう。

支払わなくてもしばらくは何も起きないのか、それとも自宅や職場に取り立てが来たり電話などで脅されるのか。両者には雲泥の差があります。

この点、闇金など違法な業者でない限り、執拗な取り立てをされることはありませんので、その点はご安心ください。

とはいえ、いつまでも支払わなければ、以下の流れで最終的には給料や預貯金などの財産を差し押さえられてしまいます。

したがって、できる限り早めに対処することが必要です。

以下、督促状が来た後の一般的な流れをご説明いたします。

(1)催告書が届く

督促状を無視していると、まずは電話や督促状による催促がある程度の期間、繰り返されます。

最初のうちは電話の口調や督促状の文面もやさしいものですが、何度も無視していると、徐々に厳しい口調や文面になってきます。

やがて、「催告書」という書類が送られてきます。

催告書も法的な意味合いとしては督促状と同じで、支払いを催促するための書類です。

ただ、催告書には「最終警告」という意味が込められている点が督促状とは違います。

通常、「〇月〇日までにお支払いがなければ法的手段をとらざるを得ません」という文言が催告書には記載されています。

内証証明郵便で送られてくることが多いのも催告書の特徴です。

催告書を受け取っても支払わなければ、後記(3)の回収手段へ進んでいきます。

(2)ブラックリストに載せられる

借金やローンの支払いを滞納していると、やがてブラックリストに載せられてしまいます。

ブラックリストとは、滞納した事実が「事故情報」として個人信用情報機関に登録されることをいいます。

いったんブラックリストに載せられると、最低5年間は新たな借入れやローン、クレジットカードの利用などが難しくなります。

ブラックリストに載せられる時期は債権者によっても異なりますが、61日以上滞納を続けているとブラック入りする可能性があります。

催告書を受け取った時点で既にブラック入りしていることも多く、まだブラック入りしていない場合でもただちに支払わない限り、時間の問題です。

(3)回収手段をとられる

催告書を受け取っても支払わなければ、債権者は法律に基づいて粛々と回収手段をとることになります。

回収手段の流れは、以下のようにケースに応じて異なります。

①一般的な借金やローンの場合

債権者はまず、支払いを求める裁判を起こします。

裁判を起こされると、債務者には裁判所から「支払命令」または「訴状」という書類が届けられます。

「支払命令」とは、債権者が支払督促を申し立てたときに裁判所が発布するものです。

債務者が支払命令を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てないと、債務は確定してしまいます。2週間以内に異議を申し立てると、手続きは訴訟に移行します。

債権者が最初から訴訟を提起した場合は、債務者の手元に「訴状」が届けられます。

訴訟の場合は第1回の裁判期日までに1~2ヶ月の時間的余裕がありますが、無視すると、やはり債務が確定します。

債務が確定すると、債権者は差押えなどの強制執行をすることが可能になります。

差押えを受けることが多い財産は、給料債権や預貯金口座などです。

②税金の場合

税金を滞納した場合は、上記の借金やローンの場合と異なり、裁判を経ずに財産を差し押さえられます。

国税(所得税、法人税、消費税など)の場合、納付期限を過ぎてから50日以内に督促状が発送され、発送日から10日が過ぎても全額納付されなかった場合は差押え可能となります。

もっとも、通常はただちに差し押えされるわけではなく、まずは財産調査が行われます。

財産調査では自宅や職場への立ち入り調査もありますし、家族や勤務先の関係者からの聴き取り調査もあります。

滞納者が個人事業主の場合は、取引先にまで聴き取り調査が行われます。

調査の結果、お金に変えることができる財産が見つかった場合は、換価処分が行われて滞納税に充てられます。

③公正証書がある場合

債権債務の契約書などが公正証書で作成されており、その公正証書に強制執行認諾文言が付されている場合も、裁判手続きなしに財産を差し押さえられます。

離婚する際の慰謝料や養育費の支払い、個人間で多額のお金を貸し借りする場合などに公正証書を作成していることが多いです。

貸金業者からの借金でも公正証書を作成している場合があります。公正証書を作成した場合は、注意しましょう。

④担保がある場合

債務に担保がある場合は、担保権を実行されて、担保に供していたものを失うことになります。

例えば、住宅ローンの場合はマイホームに抵当権が設定されているため、抵当権の実行としてマイホームが競売にかけられます。

自動車ローンの場合は「所有権留保」といって、ローンを完済するまでは自動車の所有権をローン会社に残しているのが通常です。

債務者がローンを支払えなくなると、ローン会社がその自動車を引き揚げて売却して、滞納分に充てることになります。

⑤保証人がいる場合

保証人がいる場合、債権者は保証人に対して支払いを請求することになります。

通常は「催告書」が届く前に、保証人への請求があります。

なぜなら、保証人が付いている場合の多くは「連帯保証人」が付いており、債権者は連帯保証人に対してはいつ請求してもよいことになっているからです。

保証人が支払えば、催告書は送られてきません。

ただし、その場合でもあなたは支払いをしない限り、ブラックリストには登録されます。

保証人も支払わない場合は、あなたと保証人の双方に対して催告書が届き、上記「①」と同じ方法で回収が進められます。

2、督促状が届いたとはいえ金はない!そんなときどうする?

催告書が届いた時点で債務を支払えば、回収手段をとられることはありません。

しかし、そうもいかない場合はどうすればよいのでしょうか。

(1)裁判を起こされる前

支払いができないときは、必ず債権者に連絡することです。

債権者に連絡をとって事情を話し、遅れてでも支払うことを申し出れば、支払いを待ってもらったり分割払いを認めてもらえる場合も多いものです。

税金を滞納した場合でも、「納税について誠実な意思を有する」と認められれば、納税や差押えを待ってもらうことが可能です。

ただ、必ずしもこのような配慮をしてもらえるわけではありません。

債権者に理解してもらうためには、以下のことをしっかりと伝える必要があります。

どうしても支払えない事情
現在の収入と支出の状況
いつまでに支払えるのかの見込み

場合によっては、家計収支表や収入証明書、今後収入が増える見込みがあるのであればそのことがわかる資料などの提出を求められることもあります。

しっかりとした資料を提出した方が交渉もスムーズに進みますので、準備しておきましょう。

また、債権者への連絡は可能限り早めにすべきです。

早ければ早いほど債権者の理解も得られやすく、支払い猶予や分割払いを認めてもらいやすくなります。

理想は滞納する前に、支払えないとわかった時点で債権者に連絡して相談することです。

(2)裁判を起こされた場合

「支払督促」を申し立てられた場合は、2週間以内に異議を申し立てます。

異議申立書の用紙は裁判所から送られてくる書類に同封されていますので、それに記入して裁判へ返送します。

異議申立てをした後は、以下と同じ流れになります。

「訴訟」を提起された場合は、答弁書を提出します。答弁書の用紙も裁判所から送られてくる書類に同封されています。

その答弁書には、反論を記載する欄と、反論がなく分割払いでの和解を希望する場合には和解案を記載する欄とがあります。ですので、支払い可能な和解案を記載した答弁書を裁判所に返送しましょう。

第1回の裁判期日までに債権者との話し合いがまとまれば、第1回期日で和解が成立します。

それまでに話し合いがまとまらない場合でも、数回の裁判期日を続行して和解の交渉を重ねることが可能です。

したがって、あきらめずに答弁書を提出して、債権者との話し合いを重ねましょう。

答弁書を提出せず、裁判にも出頭しない場合は、第1回期日において債権者の主張通りの内容で判決(欠席判決)が言い渡されます。

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