働いていても、専業主婦(夫)でも、日本では原則として20歳以上60歳未満の方は「すべて」国民年金に加入しなければなりません。ただ、受け取る時の形はさまざまです。
通常は一人一年金のところ、離婚した際には、夫婦間で分割できるという厚生年金の年金分割という制度が平成19年4月から創設されています。今回は、この「離婚」の際の年金分割についてお話しします。
共働きと専業主婦(夫)の年金は何が違う?
働いて厚生年金に加入していると、65歳以降、老齢「基礎」年金と老齢「厚生」年金という2階建ての年金を受け取ることができます。一方、専業主婦(夫)は、国民年金の保険料を支払う必要はありませんが、65歳以降、老齢「基礎」年金を受け取れます。
このように、1階部分に、すべての基礎となる年金があり、働き方によって基礎年金に上乗せされる年金が変わるというのが公的年金です。
離婚の際に分割対象となる年金は、上乗せ部分である「厚生」年金の部分です。夫の年金の半分を妻に渡す制度だと思っている方もいるのですが、そうではありません。
また、夫婦共働きで、2人とも厚生年金に加入している場合、分割対象は婚姻期間中の夫婦2人分の厚生年金加入記録合計が分割対象ですから、夫婦ともに同程度の収入であれば、分割といえなくなるという点にも注意しましょう。
3号被保険者が請求する離婚の年金分割はとてもシンプル
離婚の年金分割には「3号分割」と「合意分割」の2つがあり、まずは3号分割について説明します。
3号分割を請求できる第3号被保険者とは、厚生年金に加入している配偶者に扶養されて国民年金に加入している状態です。第3号被保険者になる加入手続きは会社がしてくれますし、保険料を自分で支払う必要はありません。しかし、離婚の年金分割は、「自分が」請求することは覚えておきましょう。
平成20年4月1日以後の婚姻期間中の厚生年金記録を2分の1ずつ、夫婦間で分割できますので、話し合いも不要で、公正証書の作成など書類の手間もかかりません。ただ、請求期限が、離婚等をした日の翌日から2年となっています。
経過してしまうと年金に加算されることはありません。自分が老齢の年金を請求する65歳時点で初めて気づいても、年金に加算されませんので忘れないでください。
この3号分割は、事実婚でも請求できます。ただ、自分も厚生年金に加入していた期間があったり、平成20年4月より前に婚姻期間があったりしたときには、次に説明する「合意分割」による請求となります。
3号分割の請求は、第3号被保険者である期間と婚姻期間が確定できれば非常にシンプルな改定請求ですが、合意分割をするためには、手続きの困難度が一気に上がってしまいます。
配信: ファイナンシャルフィールド