息子に「贈与」のため、現金を渡しました。現金なら税金はかかりませんか?

子育てでは教育資金や結婚資金など、さまざまなライフイベントでまとまったお金が必要になることがあります。しかし、いくら自分の子どものために支出したお金であっても税制上は贈与とみなされ、課税対象になる場合があることは理解しておきましょう。本記事では、贈与税の仕組みと、現金で贈与した場合に抱えるリスクについて解説します。

贈与税の非課税額は決まっている

贈与税は個人から第三者に財産を手渡した際に対象となる場合がある税金です。ここでいう第三者とは、「自分以外の人」という意味であり、そこには親族や法人といった区別はありません。たとえ、自分の子どもや配偶者に財産を分け与えた場合であっても、対象になる可能性があります。とはいえ、すべての贈与が贈与税の対象になるわけではありません。

 

すべての贈与に対して贈与税を課してしまうと、厳密には「子どもへのおこづかい」も対象になってしまい、事務処理がとても煩雑になってしまいます。そこで、一定程度の少額の贈与は贈与税を課さないという決まりがあり、その控除額は1人当たり年間(毎年1月1日~12月31日)で110万円です。

 

つまり、毎年110万円以下の贈与であれば、現金や株式といった資産の種類に限らず、税制上は非課税扱いになります。仮に1年間の贈与額が110万円を超えた場合は所得税と同じく、金額が大きければ大きいほど税率も上がっていく超過累進税率で税金を計算する仕組みです。

 

現金ならバレない?

上述したように、年間での贈与額が110万円を超える場合は、たとえ、親から子への贈与であったとしても、原則的に贈与税を支払わなければいけません。とはいえ、せっかく子どものためを思ってあげたお金に税金がかかるのは納得いかない人もいるでしょう。そうした人の中には「現金で渡せばバレないから大丈夫」だと考える人もいるかもしれません。しかし、そうした考えはとても危険です。

 

2021年12月に国税庁が発表した「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」という資料によると、1867件の実地調査を行った結果、1769件(約95%)の申告漏れを発見しています。また、そのうちの1454件(約82%)は贈与税を申告していなかった人の違反を発見したものです。

 

たしかに、現金による贈与は、口座振り込みに比べると証拠が残りにくいかもしれません。しかし、そうした事情は税務署側も当然把握しており、何かしらの違和感を覚えたときには重点的に調査しています。

 

もしも、贈与税の無申告が国税庁の調査で見つかった場合には延滞税(最大14.6%/年)、無申告加算税(最大20%)、重加算税(最大50%)といった税金が課される恐れがあります。これらのペナルティは本来納めるべきだった金額に加算されるため、納める税金を少なくしようとした結果、より多くのお金を失うことになるわけです。

 

これらのことから、たとえ、現金であっても非課税額を超える額の贈与をする場合は、おとなしく贈与税を申告しておいたほうがよいでしょう。

 

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