うまいもの探偵団「このお店で一番売れているメニューを教えてください」VOLUME.9/大衆酒場 だるま

うまいもの探偵団「このお店で一番売れているメニューを教えてください」VOLUME.9/大衆酒場 だるま

うまいもの探偵団が、毎回東京の気になる街の気になる店へ突撃。一番売れているメニューをお聞きして、おいしいだけじゃない、愛されている理由を探ります。今回は、編集部ふくだが下町の名店『だるま』へ。二代目の店主姉妹が温かく迎え入れてくれる、店の雰囲気も絶品です。

【今月のお店】大衆酒場 だるま(門前仲町)
一番売れているメニュー:牛モツにこみ

牛モツにこみ(700 円)は、ふっくらとしたモツはもちろん、とろとろのタマネギと牛の脂の甘みがとけ込んだ味噌ベースのつゆも飲み干したくなるほど美味。坪面積あたりの消費量が日本一という噂もある、宝焼酎のチューハイ(550円)とどうぞ

探偵団:門前仲町で50年以上にわたり愛される、古典酒場にして名酒場。注文が入るたびに響き渡る「チューハイ、いっぱ~つ!」という、理(あや)さんのかけ声が素敵です。

理さん:ふふふ。先代の、父の時代からの伝統で、アルバイトの大学生が言い始めたそうです。焼酎は濃いめに、1杯ごとに栓を抜いて瓶の炭酸を注ぎます。卓上のレモンやライムのシロップは各自でお好きなだけ入れてね、って。どれも先代から続くスタイル。

探偵団:すっきりとしたチューハイに合うのが、この「牛モツにこみ」。一番人気のメニューですね。

理さん:寸胴鍋で仕込んでいますが、毎日、最初になくなります。これも先代からの看板メニューです。

探偵団:モツがシャクシャクっとして、それでいて、ふっくらとしたやわらかな食感がたまりません。それから、このコクのあるおつゆも。

理さん:下茹でを繰り返して臭みを取ったモツを、継ぎ足し、継ぎ足し大切にしてきたタレでコトコトと煮込んでいます。具材はモツとコンニャクとタマネギの3種類。あとはお味噌とザラメだけ。本当にシンプルです。牛の脂の甘みでコクが出るんですよ。

理さん(右)と真さんは、お互いを思いやる仲良し姉妹。カウンター内のおふたりのやりとりを見ているだけで幸せな気分に

探偵団:レシピも先代譲りですか?

理さん:シンプルな作り方は変わりませんが、少しだけ私の代になって変えたところもあります。以前に比べて女性のお客さまが増えたので、モツをひと口サイズに切ったり。あと、私は「飲めるにこみ」を目指しているから、前のほうが濃い味だったかも。

探偵団:牛モツにこみは、理さんの担当なんですね。

理さん:はい。ほかにもひじき煮、ぬか漬けなど、あらかじめ仕込みが要る料理は私が。炒めものや揚げものといった、注文ごとに調理するメニューは妹の真(まさ)が、と分担しています。

探偵団:「本日のオススメ」とボードに書かれたメニューも真さん担当?

理さん:ええ。春先なら新タマネギと牛肉の炒めものとか、ホタルイカのぬた和えとか、タケノコの煮物とか。旬のものですね。妹は父親譲りで本当に料理上手。サービス精神も父親似で、ときどき心配になるくらい。「ちょっと大盛りすぎるわよ」ってこっそり耳打ちすることもあるんだけど、彼女は優しいから「いっぱい食べてほしいの!」って(笑)。

短冊に書かれたメニューやお酒のポスターとともに店の壁を彩るのは、『だるま』を紹介するたくさんの新聞や雑誌の記事。素敵な時間と歴史の積み重ねが、この場所に確かにあることが伝わってくる

探偵団:先ほど常連さんの帰り際に、真さんが手作りのお弁当を渡していましたね。

理さん:父の代から通ってくださるおじいちゃんが、家で食べられるようにね。妹が、いつも白ごはんじゃ飽きちゃうだろうからって、ときおり豆ごはんや炊き込みごはんに変えながら、お弁当を持たせるのよ。先代の頃からの常連さんが多くて、本当にありがたいことです。

探偵団:おふたりとも常連さんにだけでなく、一見(いちげん)さんにも優しいです。

理さん:メニューにない料理でも、リクエストで作ることがあるの。材料があって、調理場が忙しくないとき限定で。忙しいときは誰が相手でも断るから運しだい。だから初めての方も、遠慮せずに聞いてみてくださいね。

大衆酒場 だるま

1971年創業、東京メトロ・門前仲町駅から徒歩3分の大衆酒場。理さんと真さんの姉妹2人が切り盛りするコの字型カウンター席メインの店で、季節の手料理とうまい酒、心地よい喧騒が揃う至福の時間を過ごすことができる。テーブル席あり。

TEL.03-3643-4489
住所/東京都江東区門前仲町2-7-3
営業時間/16:30 ~ 22:00(フード20:50LO、ドリンク21:20LO)
定休日/日・月 
※現金のみ

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