年金受給中の夫に生計を維持されていた妻は、遺族年金を受け取ることができます。ここで気になるのが、遺族年金の支給額がいくらになるのかという点です。金額次第では、今後の妻の生活が大きく変わることもあります。
そこで、月15万円の年金収入を有していた夫が亡くなった場合に、妻が受け取る遺族年金について考えていきます。
なお当記事で記載する年金額は、令和5年度のものとします。
上記ケースで、妻は遺族厚生年金を受け取れる可能性が高い
夫に先立たれた妻が受け取れる可能性のある遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金とがあります。亡くなった夫が年金収入15万円を有していた場合、妻が受け取れる遺族年金は、基本的に遺族厚生年金となるでしょう。老齢基礎年金の支給額を月に6万6250円程度とすると、年金を月に15万円も受け取れる夫であれば、老齢厚生年金も一緒に受け取っているはずです。
夫に生計を維持されていた妻が、遺族厚生年金を受け取ることができる場合は、夫自身の年金の保険料納付済み期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あるときです。多くの老齢厚生年金受給者はこの期間要件も満たしている可能性が高く、上記ケースの場合も、遺族厚生年金の受給要件は満たしているものと考えて差し支えないでしょう。
なお限定的ではありますが、18歳になる年度の3月31日までにある子や、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子を有する妻であれば、遺族基礎年金も受け取れる可能性があります。
妻が受け取る遺族厚生年金の額は?
妻が受け取る遺族厚生年金の額はおおむね、夫の老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額です。
夫が月15万円の年金を受け取っている場合、老齢基礎年金を除くと、老齢厚生年金部分の額は8万3750円になります。すると、妻が受け取る遺族厚生年金の額は、およそ月6万2813円となる見込みです。
このとき妻が40歳以上65歳未満であれば、65歳までの間は、年間59万6300円の中高齢寡婦加算が上乗せ支給されます。それによって、年間で受け取る遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の総額は、135万56円となる見込みです。月額換算では11万2505円程度となるでしょう。
また遺族厚生年金は、妻本人の老齢基礎年金とともに受け取ることができます。
仮に妻が65歳以上で、老齢基礎年金が満額支給されるとすると、妻は遺族厚生年金と合わせて、月に約12万9063円の年金を受け取ることができます。
なお、妻が65歳以上であり、妻自身も老齢厚生年金を受け取れるという場合は、注意が必要です。妻自身の老齢厚生年金は全額支給されますが、遺族厚生年金に関しては、老齢厚生年金相当額の支給が停止されます。その理由は、妻自身の納めた厚生年金保険料を、もらえる金額に反映させるためといわれています。
図表
出典:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
配信: ファイナンシャルフィールド