発達障害のママが、発達障害がある子どもを育てるということは、何がどんなふうに大変なの?【発達障害体験談】

発達障害のママが、発達障害がある子どもを育てるということは、何がどんなふうに大変なの?【発達障害体験談】

ライターの綾瀬ゆうこさん(40歳)は、藍ちゃん(仮名・10歳)とさやかちゃん(仮名・8歳)を育てるシングルマザー。藍ちゃんは3歳のときに発達障害の傾向があると診断されましたが、藍ちゃんの特性を調べているうちに、綾瀬さん自身も発達障害の傾向があるのではないかと思いいたったと言います。発達障害のママが発達障害の子どもを育てる日々のことについて聞きました。綾瀬さんには、自身の体験をもとにした「『困った』『やってしまった』がなくなる 発達障害ママの子育てハック」の著書があります。

3歳のとき、発達障害の疑いありと。育て方が悪かったわけではないとほっとした

――2人の出産までのことを教えてください。

綾瀬さん(以下敬称略) 26歳で結婚し、29歳のときに第1子の藍が生まれたのですが、妊娠7カ月のとき切迫早産(せっぱくそうざん)になってしまい、臨月までの3カ月間は絶対安静の入院生活に。臨月に入って一度家に帰り、ちょうど予定日に陣痛がきて、50時間かけて出産しました。妊娠後期から出産までは、ちゃんと生まれてくるかすごく心配しましたが、3260gの元気な赤ちゃんでした。
さやかは32歳のときに生まれました。予定日の2週間くらい前に胎盤早期剥離となり、緊急帝王切開で出産。でも、問題なく生まれてくれ、出生体重は2755gありました。

――子どもが生まれたときはどのように感じましたか。

綾瀬 長女のときも二女のときも純粋にうれしかったです。私は小さいころから人と同じようにできないことが多く、自分はダメな人間だと思っていたので、私のような人間にならないよう、ていねいに育てようと考えていました。
とくに初めての育児だった長女は、母子健康手帳や育児書の目安に沿って成長しているかとても気になりました。10カ月ごろまでは順調で安心していたのですが、徐々に「笑顔が少ない」「あやしても反応が薄い」と気になることが出てくるようになったんです。

――気になることについて、小児科医など専門家に相談しましたか。

綾瀬 ひたすら、インターネットで検索したり、育児書で調べたりすることを続けました。その結果、どうも自閉傾向があるようだ、という結論に達しました。でも1、2歳で相談に行っても、「もう少し様子を見ましょう」と言われるんだろうなと思ったので、相談するのはまだ早いと考えました。そして3歳児健診のとき、「発達障害の傾向があるかもしれないから、病院で検査を受けてください」と。検査の結果、ASD(※1)とADHD(※2)が疑われるとのこと。やっぱりそうだったか・・・と、ほっとしたのを覚えています。

――ほっとしたのは、どのような気持ちからですか。

綾瀬 藍は成長するにつれ、こだわりがどんどん強くなっていきました。たとえば、幼児食になってから食べてくれたのは「うどん、ラーメン、ごはん」という“白っぽいもの”だけ。それ以外は断固拒否です。なぜか納豆巻きは好きだったのですが、いつもと違う店で買って、普段食べている納豆巻きには入っていないシソなどが入っているのがわかると、怒り狂い、手がつけられないほど暴れました。
また、人に触れられるのもダメで、触っても怒らないのは私だけ。妹のさやかの手がちょっと触れただけでも大騒ぎしていました。電車などでは、藍が座っている横に人が座ろうとしたら、車両全体に響き渡るような声で大泣きしました。

毎日そんな調子だったので、原因が発達障害だったことがわかり、安心したんです。私の育て方が悪かったわけじゃないんだって。

※1 対人関係が苦手、こだわりが強いなどの特徴がある発達障害。
※2 注意力不足、落ち着きのなさ、衝動的な言動を抑制することが難しいなどの特徴がある発達障害。

小学校入学以降、発達障害の特性がやわらいでいく。今、苦戦しているのは漢字

――発達障害の疑いがあると診断がついたあと、療育などには通いましたか。

綾瀬 週1回通いました。藍が通った療育は親も付き添い、教室の後ろで見学することになっていました。作業療法士の先生と一対一で日常生活の動作などのサポートを受けるとともに、4~5人の子どもたちと一緒に、社会性を身につけるためのトレーニングなどを行っていました。

そして療育に通い始めて2年がたった5歳ごろ、「そろそろ療育は必要なさそう」と療育の先生に言われ、一度通うのをやめて様子を見ることになりました。小学校入学後も支援教室に通級すべきか悩んでいた時期でもあったので、発達障害の検査を再度受けることにしました。発達のしかたにデコボコはあるものの、IQは基準値の100。通級指導は受けず、普通学級のみに進学することになりました。

――藍ちゃんは現在小学校5年生。これまでの小学校生活で、苦戦することはあまりなかったでしょうか。

綾瀬 少しずつ発達障害の特性がやわらいでいき、小学校2年生以降は、担任の先生から「学校生活に問題はない」と言われています。ありがたいことに、同級生はやさしい子が多く、楽しく学校に通っています。また、成長とともに協調性と社会性が身についてきているので、体育の授業などで人と触れる動作があるときは、「必要なことなんだ」と自分に言い聞かせて対応しているようです。

藍は発達障害の特性で偏食が多く、野菜は玉ねぎときゅうり以外は食べません。そのため、給食も食べられないメニューが多いです。でも今の小学校は無理に食べさせるような指導はしないから、給食は苦痛ではないようです。

――こだわりが非常に強かった幼児期は好きなことを覚える力がすごくて、驚いたこともあったとか。

綾瀬 3、4歳のころ、好きなアニメのせりふを一言一句間違えずに覚えられるという特技がありました。こだわりの強さがいい方向に作用したんでしょうね。発達障害の特性が薄らぐとともに、そうした特技は減っていきました。
でも、今でも「これ」と決めたことは何が何でも頑張る、執念のようなものを感じることはあります。

今、頑張っているのはフィギュアスケートです。初めてアイススケート場に行った小学校2年生のとき、スケート靴をはいてリンクに立った瞬間に歩けて、30分で滑れるようになりました。藍は発達障害の特性で体幹が弱く、運動は苦手なほうなので、見ていてびっくりしました。本人も相当うれしかったようで、「スケートを習いたい」と。同じ時期にスケートを習い始めたお友だちはほとんどやめてしまった中、藍だけは続けています。体幹が弱いから、スピンや片足で滑るなどの技を覚えるのに人より時間がかかりますが、黙々と練習しています。

――授業でいちばん苦戦しているのは漢字だとか。

綾瀬 どうにも漢字が覚えられず、2~3年生くらいのレベルなので、ディスグラフィア(※3)を疑っています。ディスグラフィア用のいろいろな教材を試し、毎日反復することを繰り返して、どうにかこうにか書けるようなっていますが・・・ 解決はしていません。
でも、本人はあっけらかんとしていて、「また象形文字を作っちゃった~」とか言って笑っています。

――藍ちゃんは中学受験をめざして勉強中。きっかけとなったのは漢字だそうですね。

綾瀬 中学受験をさせる気はまったくなかったのに、「こんなに苦手な漢字で試験を受けなきゃいけないなら、早いほうがいい。中学受験なら6年分の漢字を覚えるだけで済む」って、藍が言うんです。そんなことを考えられるようになったんだ、と感心してしまいました。藍の言うことは一理あるので、中学受験に挑戦することにしたんです。

※3 書字障害、書字表出障害とも。知的な発達に大きな遅れがないのに、文字を書くことに困難がある学習障害(LD)。

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