「口腔がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

「口腔がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

口腔がんの症状とは?Medical DOC監修医が口腔がんの症状・初期症状・末期症状や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

「口腔がん」とは?

口腔がんとは、唇、舌、口の内側、歯茎、口蓋や口腔の底部など、口の中の部分に発生する悪性の腫瘍を指します。初期の口腔がんは、痛みや自覚症状が少ないため、気づかないことが多いです。しかし、進行すると食事の際の痛みや、口の中にしこりができる、出血するなどの症状が現れることがあります。また、舌や口の中にできた潰瘍(かさぶた)が1か月以上治らない場合も注意が必要です。
喫煙やアルコールの過剰摂取、不衛生な口腔状態、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染などがリスクとされています。口の中に痛みや異常を感じた場合、または上記のリスクを持つ方は、口腔外科や歯科を受診し、早期発見と早期治療を受けることが大切です。

口腔がんの代表的な症状

口内(口の中)の痛み

口腔がんの初期症状の1つが口内の痛みです。この痛みは特定の部位だけでなく、口の中の広範囲に及ぶこともあります。また、食事の際に特に強く感じることがあります。痛みの程度はさまざまで、中には日常生活に支障をきたすこともあります。口腔癌で治療前に自発痛(何もしていなくても自然に痛い状態)を訴えた症例では予後(治療結果や生存率などを含めた今後の見通し)が悪い、という報告もあります。
痛みに対して、市販の口内炎治療薬や消炎鎮痛薬を一時的に利用して症状を和らげることは可能です。ただし、これは一時的な対処法であり、根本的な治療とはなりません。長期間痛みが続く場合は、自己判断せずに医師の診断を受けることが重要です。
専門科は歯科や口腔外科です。痛みが強く、日常生活に影響が出る程度であれば、早めの受診が必要です。緊急性はありませんが、早めの日程で受診してください。

口を開きづらい

口腔がんの症状の中には、開口障害というものがあります。開口障害は、口を十分に開けることが困難になる状態(口を開けづらい状態)を指します。これは口腔がんが口の筋肉や関節に影響を及ぼすことによって起こることが多いです。食べ物を噛むなど日常的な口の動きに支障をきたすこともあり、特に固さのある食べ物の摂取が難しくなることがあります。
開口障害そのものに対して即効性のある対処法というものはありません。自身で可能なことは、液体状のものや柔らかい食事を摂って栄養不足を補うことくらいです。症状の根本的な原因を解消するためには、専門科での診断と治療が必要です。専門科は歯科・口腔外科です。緊急性はありませんが、早めの日程で受診してください。

構音障害

口腔がんの症状の中には、構音障害というものもあります。構音障害は、言葉の発声や発音が難しくなる言語障害の一つです。具体的には、特定の音を正確に発音することが難しい、音を省略したり置き換えたりすることが起こるといった症状が現れます。例えば、「さ」を「た」と発音する、などの特徴的な発音の変化が見られます。
構音障害そのものを治すことのできる、即効性のある対処法は存在しません。自身で可能なことは日常生活の中で意識的に正しい発音を繰り返して練習することです。それに、周囲の人々に状況を理解してもらい、忍耐強くサポートしてもらうことも大切です。ただしこれらは構音障害に対しての事後の対応であり、本来は早期発見、早期治療を行うべきでしょう。
専門科は耳鼻咽喉科や口腔外科です。早めに受診してください。

嚥下困難

口腔がんの症状として、嚥下困難というものもあります。
嚥下困難とは、食物や液体、唾液を喉から食道に移動させる(飲み込む)時に、うまくできない状態のことを指します。この症状は、食物や液体が誤って気道に入ってしまう、食べ物が喉でつかえる感じがするなど、さまざまな形で現れます。
嚥下困難の症状を和らげるためには、食べ物の固さや量を調整することが効果的です。ペースト状やゼリー状の食品を選ぶ、小さく刻むなどすると、食べ物を飲み込みやすくなります。
ただしこれは嚥下困難がある状況で、安全に過ごすための工夫であって、根本解決ではありません。原因を調べて正確な診断をつけるためには専門科の受診が必要です。耳鼻咽喉科や脳神経内科がその専門になります。早めに受診して原因検索と治療を行いましょう。

神経麻痺

口腔がんの症状の一つとして、神経麻痺があります。具体的には下顎の中を通過するオトガイ神経という部分の麻痺になりますが、一部の口腔がん(下顎歯肉癌)でみられるという報告があります。
オトガイ神経が麻痺すると、下唇や下顎の皮膚、口腔内の粘膜や歯茎に知覚異常が起きます。痺れたような感覚で触覚が鈍くなったり、逆に過敏になって少しの刺激でも強く感じたり、という症状がみられます。
このような症状が出現したら、まずは医療機関を受診しましょう。専門科は歯科、口腔外科です。口腔がん以外の要因でもこの神経麻痺が出ることはあるため、どんな原因があるのか調べてもらいましょう。緊急性はありませんが、早めの日程で受診してください。

関連記事: