Snow Man、キンプリ……音楽チャートアナライザーが語る、SMAP解散以降の「ジャニーズ音楽」

King&Prince「シンデレラガール」、なにわ男子「初心LOVE」ヒットに見る独自性


デビュー曲「初心LOVE」が、道枝駿佑とSnow Man・目黒蓮のダブル主演ドラマ『消えた初恋』の主題歌に採用されたなにわ男子(写真:サイゾーウーマン)

――今の音楽シーンに遅れを取りながらも、新たな施策を打ち出し始めたジャニーズですが、近年の音楽面における“独自性”についてお聞きしたいです。

Kei 大きく3つあるのかなと思っています。まず1つ目ですが、King&Princeの「シンデレラガール」やなにわ男子の「初心LOVE」、Kis-My-Ft2の「Luv Bias」、Hey!Say!JUMPの「DEAR MY LOVER」など、王道のポップなラブソングがメンバー出演の恋愛ドラマの主題歌に採用されることでヒットするという事象は、ジャニーズの独自性に該当すると感じますね。

――「シンデレラガール」は、平野紫耀さん出演の『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系、18年4月期)、「初心LOVE」は道枝駿佑さんがSnow Man・目黒蓮さんとともにダブル主演を務めた『消えた初恋』(テレビ朝日系、21年10月期)の主題歌に採用され、その年を代表するヒット曲になった印象です。

Kei 「Luv Bias」は、玉森裕太さんが主演・上白石萌音さんの相手役を務めた『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系、21年1月期)の主題歌。LINE MUSIC限定でサブスクが解禁されたり、グループのYouTubeチャンネルにライブ映像がフルでアップされたり、また「レコチョク」でダウンロードできたりといった影響もあってか、ジャニーズの曲としてはヒットが長く続いていました。一方、「DEAR MY LOVER」は、橋本環奈さんがヒロインで、山田涼介さんとカップル役を演じた『王様に捧ぐ薬指』(同、23年4月期)の主題歌で、こちらは動画再生指標が長くヒットしていました。

――所属タレントがメインで出演するドラマの主題歌に、グループの楽曲を採用するのは、確かにジャニーズの伝統芸ですよね。

Kei これらの4曲が起用されているドラマは、いずれも彼らの単独主演作ではないんですよね。『消えた初恋』はダブル主演という形でしたが、ほかのドラマは男女のラブストーリーで、女性が主人公、ジャニーズのアイドルがその相手役という立ち位置。多くの女性視聴者が彼らの主題歌を聞くと、主人公の目線になれる――つまり感情移入しやすくなるという面があると感じます。

――ドラマと主題歌をセットでヒットさせるやり方ですね。一方で、そもそも近年ジャニーズ以外のグループで、王道のポップなラブソングのヒットが少ない印象もあります。

Kei 坂道系シリーズや48グループ、またK-POPの中でもNewJeans、TWICEといった女性ダンスボーカルグループにおいては、ポップなラブソングがヒットするケースはよくありますが、K-POPを含めた男性ダンスボーカルグループでは確かに少ないかもしれません。BE:FIRSTの2ndシングル「Bye-Good-Bye」はその系譜で、ストリーミングの累計再生回数が1億回を突破するなどヒットしましたが、それ以外のグループだとあまりないかなとは感じますね。

Snow Man「ブラザービート」はカッコよさと親しみやすさが共存


実写映画『おそ松さん』の主題歌「ブラザービート」が代表曲の一つになったSnow Man(写真:サイゾーウーマン)

――2つ目に挙げられるジャニーズの独自性はなんでしょうか。

Kei カッコよさと親しみやすさが共存している楽曲は、近年のジャニーズ音楽の独自性だと思います。具体的なタイトルを挙げると、Snow Manの「ブラザービート」。こちらはメンバー全員が出演する実写映画『おそ松さん』の主題歌で、映画の世界観をはっきり踏襲したコミカルソングではあるのですが、キャラクターをうまく反映させた歌詞やラップ、振り付けも相まってカッコよくもあり、コミカルソングには収まらない楽曲だと思います。

 ちなみに「ブラザービート」は、ビルボードジャパンのチャートがサブスクでの再生回数をどんどん重視するようになり、ジャニーズ勢には不利な状況が続いている中、22年度の年間ソングチャートで84位にランクインしました。順位こそ高くはありませんが、YouTubeにMVをフルで解禁したことも、近年のジャニーズ曲で大きなヒットにつながったのではと考えます。

 また、King&Princeの「ichiban」もカッコよさと親しみやすさが共存しています。楽曲自体はカッコよさが際立つ一方、TikTokで曲を解禁してハッシュタグチャレンジを開催しダンス動画の投稿を呼びかけたことが、「ichiban」に親しみやすさを与えたと感じています。BE:FIRSTのSOTAさんも「踊ってみた」動画を公開していましたが、ジャニーズ以外のアーティストが参加することも大きかったのではないでしょうか。

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