難しい年ごろに突入! 小学校高学年のわが子とどう接する?

第3回 小学校高学年の深刻な学級崩壊。その実態とは?
小学校高学年ごろになってくると、可愛かったわが子も少しずつ子離れの気配が見え隠れする難しい年ごろに突入しますね。小学校で高学年の学級崩壊の深刻化が問題になっているのも、それを物語っているといえるでしょう。では、その年ごろのわが子とどう向き合い、どう接したらいいのか? 白梅学園大学教授・増田修治先生にお話しを伺いました。

●子どもは成熟してくると、大人の本音と建前、矛盾を見抜く

「小学校高学年ごろになると、今の子どもたちはかなり成熟度が高いです。そうなると、大人の本音と建前や、矛盾する言動を見抜くようになり、そこに非常に敏感に反応するようになります。そこをしっかり理解して接しなければ、子どもとの関係はどうしてもぎくしゃくしてしまうのです」(増田先生 以下同)

例えば、日常でこんなことはないだろうか?

「子どもがうっかりお皿を割ってしまったり、飲み物をこぼしてしまったり…といった失敗をしたときに、“何やってるの! あなたの集中力がないからでしょ!”と頭ごなしに叱るお母さん。それなのに、自分がお皿を割っちゃったとき、飲み物をこぼしたときには笑ってごまかす。なんだかおかしいですよね?(笑)。こういう矛盾を、成熟してくると子どもは見抜いてくるんです」

つまり、親の言うことは絶対だった小さいころとは違うという。年齢的にはもちろんまだ子どもなのだが、一人前の人間として扱ってほしい…という思いが芽生え始める時期だからだ。

「親の威厳や権力で押さえつけようとすればするほど、この時期からは反発してきます。大事なことは、善悪を判断できる一人の人間として子どもと接すること、そして何かトラブルがあったときは、彼らの言い分や思いをちゃんと聞いて対応してやることです」

小学校高学年のわが子とどう接する?

●子育てで一番大事なのは、親が子どもの“伴走者”になること

さらに、“子育てでもっとも大事にしてほしいこと”について、増田先生はこう話します。

「これは、この年ごろに限ったことではありませんが、とにかく子育てで一番大事なことは、“親が伴走者”になることです。頭ごなしに上から物を言うのではなく、子どもに常に寄り添って共感し、導いてやるのです。例えば、勉強がわからない…という子どもに、“なんでこんな問題もわからないの!”なんて言ってしまったら、子どもは一気にやる気を失います。そういうときは、“これ、難しいわよね。じゃあ一緒に考えてみよう”と、言ってやれば自信もやる気も失ったりしませんね」

親はいつでも、何があっても子どもの最大の味方でなければならないという。

「わが子を他者と決して比べてはいけません。“〇〇ちゃんはできるのに、なんであなたはできないの?”という言葉は、何よりも子どもを傷つけるのです。勉強ができてほしい…、いい子に育ってほしい…もちろん親なのですから願うこと、要求することはあっていいと思います。しかし、結果どんなことがあっても“あなたのことが好きよ”“私の宝物だよ”と、言ってあげてください。そうすれば、子どもは何があっても立ち直って、また自信をもって生きていけるのです」

親と子であっても、同じ1人の人間同士。決して親からの一方通行にならないように、互いを尊重し合い、最大の味方になり、そしてあふれる愛を注いであげましょう!
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

増田修治
増田修治
白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。