澤穂希×丸山桂里奈、互いに家族をもってわかった、代表チームで得た経験と紡いだ絆の大切さ

澤穂希×丸山桂里奈、互いに家族をもってわかった、代表チームで得た経験と紡いだ絆の大切さ

女子サッカー界のレジェンド澤穂希さん(45)と丸山桂里奈さん(41)は、丸山さんが2002年に19歳で代表に選ばれてから、日本代表チームで長い時間をともに過ごしました。現在、澤さんは7歳の女の子、丸山さんは1歳の女の子のママです。今回、「たまひよONLINE」ではママになった元トップアスリート2人の対談が実現。現役時代のエピソードや、2人の関係、子育てのことなどたくさん語ってもらいました。

伝説のドイツ戦の決勝ゴールからみんなの夢が形に

――澤さんと丸山さんといえば、2011年FIFA女子ワールドカップドイツ大会でのなでしこJAPANが初の世界一となったときのことを思い起こします。準々決勝のドイツ戦での澤さんのアシストと丸山さんのゴールは、記憶に残る瞬間でした。

丸山さん(以下敬称略) あの試合では、則さん(佐々木則夫監督)から「絶対にチャンスが来るから裏に走れ」と指示されていました。だから、(岩渕)真奈がボールを持った瞬間に私は前を向いて走り始めたんです。
私がゴールを決めたのは真奈からのパスだと思っていました。
でも、後から映像を見たら、自分から見えていたイメージとはちょっと違ったんです。アシストのパスは澤さんからでした。映像では真奈がトラップしたボールを澤さんがパスしてくれていました。

澤さん(以下敬称略) そう。真奈のトラップが少し大きかったのか私の前にボールが来て、私は桂里奈が走り出してるのが見えたから、それに合わせてちょっと浮かせたパスを出しました。

丸山 今ここにボールが来たらいいなと思いながら走っていたら、ぴったり目の前にパスが来たんです。私は前を見てたから澤さんからのボールだとわからなくて、「真奈からこんなにいいパスが来た!」とめちゃ驚きながら、そのあとシュートする瞬間にはゴールまで光の道筋が見えたようでした。

ゴールが決まってすぐに(宮間)あやとか澤さんとかみんなが走って来てくれたんだけど、私はアシストは真奈だと思っていたし、ゴール決めたらアシストの人と抱き合おうって決めていたから、みんなをかき分けて真奈を探してた(笑)。試合後のインタビューで、「真奈からのアシストが・・・」って言ったら、「違います、澤さんですよ」って言われて初めて知ったっていう・・・(笑)

澤 桂里奈のシュートは、あの角度で、あの場所に入れるのは本当にすごかったよね。いいパスが来てもシュートがよくなかったら入らないよ。桂里奈は試合途中から入って、しっかり結果を残す、試合の流れを変えてくれる選手だったよね。

丸山 シュートだけじゃなくて、その前からのみんなのつながりが一つでもなかったら違う結果になっていたはず。だから、みんなで決めたゴールだと思っています。

あのときのメンバーは、チームが優勝するためにみんなで何年間も準備を積み重ねてきた。その結果が、あの年の結果につながったと思う。あのメンバーに入れたことは、自分がサッカーをやっていて本当によかったなと思える財産だし、何より澤さんと一緒にプレーできたことで自分のサッカー人生は大きく変わったと思う。みんなが夢見ていたことが形になったこと、後世に語りつがれる結果が出せたことは本当にすごいことだな、と、サッカーを辞めた今、心から思います。

澤 本当に、今だからより一層感じるよね。私自身も、あのときのメンバーだったから達成できたことだったと思う。みんなで優勝をめざして一つになった、いいチームだったよね。

澤さんにはサッカー以外の大切なことも教わった

――2人の出会いはいつごろですか?

澤 いちばん最初に会ったのは桂里奈が中学生くらいのときだったよね。そのあとしばらくして、日本代表チームでワールドカップとか、オリンピックとか数々の大きな大会で一緒に出場して。同じ部屋で過ごしたり、シャンプーを共有したり、一緒に買い物に行ったりしたよね。

丸山 私が初めて日本代表に選ばれたのは、たしか2002年のアジア競技大会で、19歳のころ。初めての日本代表チームで、なんと澤さんと一緒の部屋になったんです。澤さんは女子サッカー選手みんなの憧れの人で、本当に「雲の上の存在」。尊敬する澤さんといきなり同部屋になってめちゃくちゃ緊張したけど、澤さんはめちゃくちゃ優しくて、気さくに話しかけてくれてうれしかったのを今でも覚えています。

すごく覚えている出来事があります。代表チームが現地のホテルのロビーに到着すると、各メンバーの名前が書いた荷物が置いてあって、それを各自で部屋に運ぶんですけど、私が着いたときには自分の荷物がなかったんです。「あれ?」と思ったら、なんと先に着いた澤さんが、私の荷物を部屋に運んでくれていました。それ以来私も、自分が先に到着したら同部屋の人の荷物を運ぶようになりました。サッカーはもちろん、そういうチームメイトへの気配りも澤さんから学びました。

澤 同じ部屋で、いろんなおしゃべりをしたよね。「おやすみ」したあとも話し続けちゃって。「明日練習ハードだよ、寝なきゃ!」といいつつ、なんだかまた話が再開して「寝れないじゃん!」みたいな、そんなことばっかりだった気がする(笑) 

丸山 私は初めての日本代表で変に緊張してたけど、澤さんがなんでも話してくれたから、いい緊張感に変わりました。

澤 年齢が4学年差で近かったのもあるけど、私も楽しかったなぁ。一緒にふざけて則さんに怒られたりしたよね。私は桂里奈ほどふざけてないけど(笑)

丸山 私は歴代の監督にほんとによく怒られた。監督だけじゃなくて、あこがれてる先輩の靴下のにおいをかいでたら、先輩に見つかってめちゃくちゃ怒られたことも(笑)
でも澤さんは私のことを怒らないでいてくれましたよね。

澤 試合中のプレイでは注意したけど、私生活で怒ったことはないかな(笑)

――澤さんにとって丸山さんはどんな存在でしたか?

澤 バラエティ番組で活躍している今もそうだけど、桂里奈はチームでもムードメーカー。桂里奈がテレビに出るようになってから、よく「丸山さんのあのキャラって作ってるの?」って聞かれるんですよ(笑)。でも、普段の桂里奈も、昔からの桂里奈も、本当にテレビで見る桂里奈のまま。ほかにはいない個性的なキャラクターで、明るくて、みんなを笑顔にしてくれる人です。

丸山 うれしい。

澤 代表チームでも、練習以外の時間もサッカーのことばかりだと精神的にも疲れちゃう。でも桂里奈がみんなを笑わせてくれたりしたし、彼女が話してるだけでみんなが自然と笑顔になってる、そんな存在だったかな。

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