5月は子どもの転落事故が多い時期。「子どもは身長より高い柵でも30秒で乗り越える」と小児科医が警鐘

5月は子どもの転落事故が多い時期。「子どもは身長より高い柵でも30秒で乗り越える」と小児科医が警鐘

2024年4月中旬、3歳の子どもがマンションのベランダから転落死した事故が報道されました。子どもがベランダから転落し、死亡する事故が頻発しています。
東京消防庁のデータによると、転落により救急搬送された事故は、東京消防署管内で2019年~2023年の5年間に、5歳以下の子どもで65件起きています。
そして救急搬送されたのは月別では5月が最も多く、65件中の19件の事故が5月に起こっています。
子どもの事故に詳しい、小児科医 山中龍宏先生に、事故を防ぐ方法などを聞きました。山中先生は「子どもをずっと見守り続けているのは不可能なので、1人でベランダに出られない対策が必要だ」と言います。

5歳児では、30秒以内に120cmの柵を乗り越える子は90%以上

山中先生が理事長を務め、子どもの事故の調査や対策などに取り組むNPO法人Safe Kids Japanでは、2020年10月から2022年3月にかけて子どもの転落事故について調査・実験を行っています。

――今回、調査・実験をした背景を教えてください。

山中先生(以下敬称略) 2020年6月に、子どもがベランダから転落する事故が、1カ月の間で4件も起きました。
なかにはベランダに台などの足がかりを置いていないのに転落した子もいます。
原因を調べるために、保育園の協力を得て、子どもたちはベランダと同じ高さの柵を乗り越えることができるのか、ということを実験しました。

――実験の詳細と結果を教えてください。

山中 高さ120cm、130cm、140cmの柵を、30秒以内に乗り越えられるか実験しました。子どもたちははだしで、柵のそばには台などの足がかりは置いていません。
実験の結果、高さ120cmの柵だと5歳児は90%以上の子が30秒以内に乗り越えました。4歳児でも70%以上の子が乗り越えています。

――120cmの柵というと、ベランダの柵の高さとほぼ同じでしょうか。

山中 ベランダの柵は建築基準法では110cm以上と定められています。しかしこれは1950年(昭和25年)に制定された基準で、当時はタワーマンションなどはありません。子どもの転落事故を防ぐ視点からは、私は時代に見合ってない基準だと思っています。建築基準法に定められた高さだからといって安心はできません。

30秒以内で子どもたちが柵を乗り越えた割合

パネルタイプの柵でも転落事故が! わずかなすき間が足がかりに
今回の実験では、2020年6月、実際に転落事故が起きたパネルタイプの柵と同じ仕様のものを使い、子どもたちが乗り越えられるのかも試しています。この事故では4歳の女の子がマンション6階のベランダから転落して亡くなっています。

――実験の概要と結果を教えてください。

山中 ベランダの柵はパネルタイプで、高さは125cmあります。パネルとパネルの間に、幅9.5cmのスリット(すき間)があります。ベランダには足がかりとなる台などは置かれていませんでした。スリットの下には高さ13cmの足がかりがあり、ここに足をかけるとパネルの高さは112cmになるため、5歳児だとほとんどの子が乗り越えられます。
実験に協力してくれた子どもたちの様子を見ていても、みんなスリットに足をかけて乗り越えていきました。

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