1.猫は虫歯になりにくい?
猫は虫歯になりにくいかどうかですが、答えは「イエス」です。
その理由はいくつかあります。
猫の口のなかには虫歯菌がほぼ存在しないから
虫歯(齲歯)は、虫歯菌(ミュータンス菌など)が口腔内で増殖することと、糖分を摂取することにより口腔内のpHが下がることで、脱灰(歯の表面が崩壊)してしまう状態です。
虫歯菌は多くの哺乳類の口腔内で見つかってはいますが、猫の口腔内は人に比べ虫歯菌(ミュースタンス菌)が繁殖しづらいことがわかっています。
また猫の唾液のpHは7~8とされており弱アルカリ性(人はpH6.8の弱酸性)であるため、脱灰しづらいことも要因にあります。
そもそも汚れがつきにくい歯の形をしているから
猫の歯は人間の歯と比べると特有の形状をしており、汚れがつきにくい特徴があります。
猫の歯は全ての歯が山型になっていて、人間の歯とは似ていません。人間の臼歯(奥歯)は、葉っぱをすりつぶしたりするため上部が平らになっていて、溝も入っていますし、歯と歯の隙間も狭いです。
しかし猫の歯は獲物の肉を切り裂くのに適した山型になっていて、平らな面がありません。そのため汚れがつきにくく、蓄積されにくくもなってるのです。
人間も虫歯といえば奥歯が多いですが、それは奥歯に汚れが残りやすい(とくに溝の部分)形になっているからなんですね。
糖分をあまり摂取しないから
虫歯の原因となるのは、先に説明したように主に糖質を分解してできた酸によってエナメル質が溶けることにあります。口腔内の細菌が、残留した糖分を分解して酸を産生し、それが虫歯を生じさせるのです。
しかし猫は肉食動物で、野生の猫は小動物を獲って、その肉を食べるのが基本的な食生活でした。肉の主成分はタンパク質と脂質であり、糖質はあまり含まれていないため、口の中に糖分が残ることはほぼありません。
つまり糖質を口にする機会がほとんどない猫は、虫歯の引き金となる物質そのものを摂取しないため、虫歯にはなりづらいのです。
また猫は甘味を感じることができないので、甘いものには基本的に興味はありません。市販のキャットフードには炭水化物(糖質)が適量含まれていますが、「総合栄養食」と表記のあるものであれば過剰摂取となることはありません。飼い主が意図的に糖質を摂らせない限り、猫は虫歯の原因となる糖質を過剰摂取する機会がないのです。
2.人から虫歯はうつる?
人から猫に虫歯はうつるかどうか、答えは基本的に「ノー」です。
人間の場合は生まれたての赤ちゃんには虫歯菌がいなく、口移しや箸の共有などによって虫歯菌がうつるとされています。
しかし人から猫ではこのケースは考えにくいようです。というのも先にも少し述べた通り、猫の口のpHは弱アルカリ性で、虫歯菌が活動するには適した環境ではありません。
そのためもし一時的に猫の口に入っても、増殖できず虫歯には進行しないと考えられます。
ただし、猫の口腔内細菌は人間にうつる可能性があるので注意しましょう。
配信: ねこちゃんホンポ