5、共同養育における養育費の決め方
前記「3(4)」で、共同養育制度が導入されると養育費が支払われやすくなることをご説明しましたが、そもそも共同養育を実践する場合に養育費はどのようにして決めれば良いのでしょうか。
この点は、今後の法改正や新たな法律の制定によって変わってくる可能性がありますが、ここでは現時点における基本的な考え方をご説明します。
(1)基本的には「養育費算定表」による
現行法の下では、養育費は裁判所が公表している「養育費算定表」を参照して決められるのが一般的です。
養育費算定表には、父母の年収や子どもの年齢・人数に応じて相当と考えられる養育費の目安が示されていますので、ご自身の状況を当てはめてみれば相当な金額を知ることができます。
共同養育を行う場合も、基本的には養育費算定表を参照して定めることになると考えられます。
(2)現状よりも減額される可能性がある?
もっとも、共同養育によって非監護親も子育ての一部を負担し、監護親の負担が減るのであれば非監護親が養育費の減額を主張することも予想されます。
減額が認められるかどうかはケースバイケースですが、慎重に対応すべきです。共同養育によって監護親の支出が減るのであればともかく、そうでなければ、請求する側としてはあくまでも養育費算定表の金額は求めるべきでしょう。
ただし、共同養育制度が正式に導入されれば養育費算定表が改定される可能性もありますので、今後の法改正の動きに注意する必要があります。
6、共同養育中の再婚における注意点
また、前記「4(6)」で、共同養育を実施すると再婚が難しくなるというデメリットもご紹介しました。
ただ、共同養育制度が導入されても再婚することが禁止されるはずはありません。もし、共同養育中に再婚する場合には以下の点に注意が必要と考えられます。
(1)監護親が再婚する場合
前記「4(6)」でもお伝えしたように、共同養育中に再婚することによって「本当の親」と「新しい親」が併存するようになると、子どもに精神的負担がかかるおそれが強いことは否定できません。
この点は政府の法改正に関する議論の中でも問題視されているところであり、共同養育制度が導入される場合、どのような解決策が盛り込まれるのかが注目されています。
なお、現行法制下での共同養育は、あくまでも面会交流の一環に過ぎないため、上記のような場合には「面会交流の拒否」によって共同養育をとりやめるケースが多くなろうかと思われます。
(2)非監護親が再婚する場合
非監護親が再婚する場合には、子どもへの影響は比較的小さいかと思われますが、それでも注意は必要です。
再婚して新しい家族ができたからといって急に共同養育から手を引くようなことがあると、子どもが「父親(あるいは母親)から嫌われてしまった」と受け取り、心に傷をつけてしまうおそれがあります。
離婚後も共同養育者として子どもに関わり続けてきた以上、親としての責任は持ち続ける必要があるでしょう。
配信: LEGAL MALL