7、今すぐできる共同養育の実践例
現在の日本では、離婚後は単独親権制ですし、共同養育制度も正式に導入されてはいません。しかし、現行法の下でも、今すぐ共同養育を実戦することは可能です。
ここでは、現に行われている共同養育の実践例をご紹介します。
元パートナーとの関係性によっては難しい場合もあるかと思いますが、一例として参考になさってください。
(1)子どもの下校後~夕食までは非親権者宅で過ごす
まず、親権者と非親権者が比較的近くに住んでいる場合、子どもは毎日学校が終わると非親権者宅に寄り、そこで遊んだり宿題をしたりして夕食も済ませるというケースがあります。
夕食が済んだ頃に親権者が迎えに来て、子どもと一緒に親権者宅に戻って就寝し、翌朝は親権者宅から登校するという生活サイクルです。
このケースは父親が親権者で、母親が非親権者なので、このサイクルで円滑に共同養育ができているようです。
(2)週末や長期休みには非親権者宅に宿泊する
共同養育を毎日実践するのが難しくても、週末や子どもの長期休みには子どもが非親権者宅に宿泊するという例は多くあります。
週末に限らず、「毎週○曜日は非親権者宅に宿泊する」と取り決めている元夫婦も少なくありません。
(3)定期的に元家族で食事をする
定期的に子どもを交えて一緒に食事をするという元夫婦も、意外に少なくありません。
不仲で離婚した夫婦の場合でも、時が経てば食事くらいなら、ということで楽しい時間を過ごしているケースも多いようです。
(4)年中行事や各種イベントは元家族で行う
家族でいることを強く実感するのは、年中行事や各種イベントに一緒に参加するときです。
子どの誕生日や七五三のお祝いに非親権者も参加したり、入園式や入学式に非親権者も参列するケースが多いです。
他にも、様々な形での共同養育が考えられますので、各ご家庭の事情に応じて工夫してみてはいかがでしょうか。
8、離婚調停で共同養育を実現できる?
現行法制下の離婚調停でも、話し合い次第で上記のような共同養育を取り決めることは可能です。
柔軟な形で共同養育を取り決めるためには、両親がお互いに冷静になって話し合うことが重要です。
離婚調停では、とかく当事者は感情的になりやすいものですが、夫婦間の争いごとは法律で決着をつけて、子どもの問題については建設的な話し合いを行うことが望まれます。
そのためには、弁護士に依頼して離婚調停をリードしてもらうことも有効です。
共同養育のQ&A
Q1.共同養育の意味は?
共同養育とは、父母が離婚後も引き続き共同して子育てをしていくことです。
Q2.共同養育のメリットは?
共同養育のメリットは、以下の5点です。
子どもに両親からの愛情が注がれる
育児の負担を分担できる
子どもに会えない状態を回避できる
養育費が支払われやすくなる
監護親にもしものことがあったときに他方に引き継ぎやすい
Q3.共同養育のデメリットは?
共同養育のデメリットは、以下の6点です。
二重生活が子どもの負担になることもある
どちらが子どもと住むかで両親がもめることがある
相手方のDVやモラハラから逃げられないおそれがある
養育方針をめぐって両親が対立することがある
離婚が増える可能性がある
再婚が難しくなる
まとめ
共同養育は、共同親権の問題と一緒に法改正の議論が行われているところですが、すでに事実上の共同養育を実践している元夫婦も数多くいます。
月に1~2回の面会交流を行うことも、広い意味では共同養育の一環です。子どもの幸せを第一に考えて、工夫を凝らせば様々な形で共同養育を実践できるはずです。
離婚と子どもの問題に詳しい弁護士に相談すれば、共同養育を実践するためのアドバイスも得られます。
共同養育を望む方は、気軽に弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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