映画『先生の白い噓』で起きている“もう一つの大問題”。インティマシーコーディネーター騒動だけじゃなかった

映画『先生の白い噓』で起きている“もう一つの大問題”。インティマシーコーディネーター騒動だけじゃなかった

バラエティでの「明るすぎる宣伝」

出演者の番宣からも、ショッキングな内容を含む映画になっていることは十分に伝わっていない印象だ。

猪狩は7月4日に放送された『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)をはじめ、ここ最近は映画の宣伝をかねてのバラエティ番組の出演が目立つ。宣伝の際には「15歳未満の鑑賞はできない」という旨のテロップが表示されるが、猪狩の口からは概要がサラッと説明されるのみ。R15+であること、過激なシーンがあることなどは基本的に口にしていない。出演者にはどうすることもできない、時間や内容の制約があるのだろう。

また、6月29日に放送された『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP マッサマンVSおバカ女子日本代表SP』(フジテレビ系)では、猪狩はドッキリにかけられ、鼻にプラスチックの棒を指した状態で映画の宣伝をしていた。

出演者の心も、観客の心も守る制作を

もちろん、猪狩や出演者を責めるつもりは一切ない。ただ、今回のような作品を宣伝するのであれば、そのことを視聴者にキチンと伝わる内容・台本にしなければいけないのではないか。なにより、バラエティ番組の雰囲気は大抵明るい。そういった空間で宣伝された映画であれば、仮にR15+であることが伝わっても、深く考えずに映画館に足を運んでしまいかねない。

今回のような作品では、映画公式ホームページだけではなく、テレビ番組での宣伝方法についても詳細なルールを設ける必要を感じる。それらを議論することにより、精神的に傷つく人を減らせるのではないだろうか。

言わずもがなではあるが、インティマシー・コーディネーターが入っていればまた見え方が違ったはずだ。撮影現場を安全に導くことだけではなく、観客の心を守ることにもつながる。その必要性についても一緒に議論されてほしい。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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