暴力行為等処罰に関する法律とは?刑法との違いや逮捕時の対処法について

暴力行為等処罰に関する法律とは?刑法との違いや逮捕時の対処法について

5、暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕されたときの対処法

暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕されたときには、以下4つの対処法により、上記各段階において、早期の身柄解放、微罪処分、不起訴処分、執行猶予付き判決などを目指すことになります。

反省の態度を示す
被害者との間で示談をまとめる
暴力行為等を行う集団から脱却して更生の道を歩む
刑事事件の実績豊富な弁護士に相談する

(1)反省の態度を示す

被疑者には黙秘権が認められているので、逮捕・勾留請求後の取調べでは完全黙秘を貫いても差し支えありません。

ただし、自分が罪を犯したことに間違いがなく、また、捜査機関が犯罪事実の証拠を掴んでいることが明白な場合、黙秘を貫くのは賢い選択とは言えないでしょう。

なぜなら、反省の姿勢が認められないことを理由に厳しい取調べが継続し、身柄拘束期間が長期化するおそれがあるからです。

被害状況次第ですが、反省の態度を示せば、微罪処分になる可能性もゼロではありません。

また、仮に勾留段階に至ったとしても、反省の姿勢を示すことは不起訴処分を引き出す要因にもなるはずです。

したがって、自分が罪を犯したことが間違いない状況であるなら、頑固な姿勢を貫くのではなく、真摯な姿勢で取調べに臨むべきでしょう。

(2)被害者と示談する

同法違反で逮捕された場合、示談交渉の成否・スピードが今後の処遇を左右します。

なぜなら、わが国の刑事手続きの運用上、被害者の処罰感情が検察官や裁判所の判断に大きな影響を与えるからです。

たとえば、逮捕後身柄が警察に押さえられている段階で示談が成立すれば、微罪処分として数時間以内に事件が終結することもあります。

また、検察官送致後であったとしても、告訴取り下げや被疑者に対する処罰感情がないことを旨とする和解契約を締結できれば、検察官の起訴・不起訴の判断を被疑者に有利なものにすることができるでしょう。

もっとも、身柄が拘束されている状況では、加害者本人が示談交渉を行うのは不可能です。

また、夫婦間のトラブルが原因で逮捕されたケースであれば、示談交渉に慣れた第三者が介入した方が冷静な話し合いを期待できます。

したがって、同法違反で逮捕された場合には、被害者との間の示談交渉を早期にまとめるためにも、できるだけ早いタイミングで実績豊富な弁護士に依頼する必要があると考えられます。

(3)暴力行為等を行う集団から脱却する

暴力行為等を行う集団との関わりのなかで同法違反の罪に問われたときには、当該集団等からすみやかに脱却してください。

なぜなら、集団との関係性を断つことにより、反省の姿勢を示すことになるだけではなく、刑事手続きが終了した後に社会復帰・更生を目指しやすい環境を築くことができるからです。

(4)弁護士に依頼するメリット

「暴力行為等処罰に関する法律」違反で逮捕されたときは、すみやかに刑事事件に力を入れている弁護士までご相談ください。

被疑者・被告人が弁護人を選任すれば以下のメリットが生じます。

身柄拘束期間を短縮するための戦略を練って社会生活への支障を軽減する
逮捕後実施される取調べへの対応方法を相談できる
身柄拘束中の被疑者に代わって被害者との間で示談交渉を進められる
犯罪事実や捜査状況などを総合的に分析して、無罪を主張するか情状酌量を求めるかなどの方向性を臨機応変に決定できる
DV事案など、当事者だけでは冷静な話し合いが難しい状況でも、専門的な第三者が介入することで現実的な折衝が期待できる

「暴行行為等処罰に関する法律」に関するQ&A

Q1.暴力行為等処罰に関する法律とは?

「暴力行為等処罰に関する法律」とは、1926年に公布・施行された古い法律です。

同法は、治安警察法第17条が削除される代わりに制定されたという経緯もあり、制定当時はストライキなど労働運動の過激化を防止する目的で運用されていました。

その後、学生運動や暴力団関係者を取り締まる法律として機能してきました。

そして、今日では学校内などにおける集団的ないじめや家庭内のDVなどにも適用されるケースが認められつつあるので、いじめやDVにより傷害や器物損壊の結果が生じた場合、同法違反を問われる可能性も考慮しなければなりません。

Q2.「暴力行為等処罰に関する法律」違反となり得る事例とは?

「暴力行為等処罰に関する法律」という名称から、暴力団などの集団に適用される印象をもたれがちですが、同法違反は日常生活でも生じ得る犯罪類型です。

そこで、以下では同法違反を問われるリスクがある代表的な事例について、それぞれ具体的に紹介します。

①DVなどの家庭内暴力

DVなどの家庭内暴力に同法が適用される可能性があります。

たとえば、夫が妻に対して日常的に暴力をふるっているなら、常習性が認定されて第1条の3違反を問われると考えられます。

また、包丁を持ち出した子どもが親に対して脅迫めいた言葉を投げかけたケースでも、第1条に定める「凶器を示し」ての「脅迫」に該当すると考えられます。

②グループ同士の喧嘩

グループ同士の喧嘩は「多衆の威力を示し」ての「暴行」といえるので、第1条に違反するでしょう。

たとえば、居酒屋などの酒席で他グループとの口論が殴り合いの喧嘩に発展した場合や、その喧嘩が原因で店舗の物品を損壊したケースなどが挙げられます。

③学生運動

学生運動が過激化すると同法違反に該当する可能性があります。

たとえば、学生運動の構成員が集団でデモ行為などを実施し、大学職員や警察官などと衝突した場合、第1条が適用されます。2009年には、法政大学の学生運動に参加した学生らが同法により起訴された事件もありました(2014年、学生らの無罪が確定)。

Q3.暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕されたときの対処法は?

暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕されたときには、以下4つの対処法により、上記各段階において、早期の身柄解放、微罪処分、不起訴処分、執行猶予付き判決などを目指すことになります。

反省の態度を示す
被害者との間で示談をまとめる
暴力行為等を行う集団から脱却して更生の道を歩む
刑事事件の実績豊富な弁護士に相談する

「暴力行為等処罰に関する法律」違反で逮捕されたときは、すみやかに刑事事件に力を入れている弁護士までご相談ください。

被疑者・被告人が弁護人を選任すれば以下のメリットが生じます。

身柄拘束期間を短縮するための戦略を練って社会生活への支障を軽減する
逮捕後実施される取調べへの対応方法を相談できる
身柄拘束中の被疑者に代わって被害者との間で示談交渉を進められる
犯罪事実や捜査状況などを総合的に分析して、無罪を主張するか情状酌量を求めるかなどの方向性を臨機応変に決定できる
DV事案など、当事者だけでは冷静な話し合いが難しい状況でも、専門的な第三者が介入することで現実的な折衝が期待できる

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