絵本を読み聞かせる効果とは?
子どもは1歳ごろから短い単語を使って感情を表現するようになります。まだ言葉も会話もままならない時期ですが「絵本の読み聞かせ」には子どもにとって大きなメリットがあります。
親子のコミュニケーションの時間になる
子どもが言葉を学びだす1歳前後から、絵本の読み聞かせを始める親は多いようです。
「言葉が分からないから、絵本はまだ早い」と思う人もいますが、子どもに言葉を学習させることだけが目的ではありません。
絵本を読み聞かせる時間はママと子どもの大切なコミュニケーションのひとときです。子どもはママの声や表情から、自分への愛情を本能的に感じ取っています。
抱き寄せたり、膝の上に乗せたりして読み聞かせをすれば、子どもはさらに安心感を覚えるでしょう。
コミュニケーションやスキンシップの時間が増えれば増えるほど、子どもの情緒面は安定していきます。
想像力や表現力が養われる
絵本は子どもの想像力と表現力を育み、感受性豊かな人間へと成長させます。
主人公が空を飛んだり、動物が話をしたりと、絵本の中には普段の日常とはまったく異なる世界が広がっています。
「次は何が出てくるかな?」「どうなるのかな?」と想像力がかきたてられ、子どもの内面世界はどんどん豊かになっていくのです。
子どもは、うれしい・寂しい・怖いなどの様々な感情を絵本から学べるようになります。他者への共感性や感受性が高くなり、思いやりのある人間に育っていくでしょう。
同時に、語彙力や表現力が増し、自分の感情を上手に伝えられるようになっていきます。
1歳の子どもにはどんな絵本がいい?
1歳児の絵本は、ストーリー性よりも言葉の響きや絵のカラフルさ、仕掛けの面白さなど、五感で楽しめるものを選ぶのがポイントです。
身近にあるものがテーマになっている
子どもが興味を抱きやすく、すんなりと感情移入ができるのは、果物や動物、乗り物など「身近にある物」がテーマの絵本です。歯磨きやお風呂などの「生活の場面」が描かれた物もよいでしょう。
1歳を過ぎると、徐々に絵と言葉を結び付けられるようになります。
興味のある物に人差し指を向ける「指差し」が始まる時期なので「これ知ってる!」と指でママに教えようとするかもしれません。
「わんわんだね」「これ知ってるね」と心のこもった声掛けをしながら、絵本を読み進めていきましょう。絵はできるだけカラフルで輪郭がはっきりした物が理想です。
リズム感のある言葉が多い
子どもは普段から大人が気付かないような自然の音や生活の音にも耳を澄ませており、音そのものを楽しむことができる柔軟な心を持っています。
子どもが言葉を完全に理解していないうちは、物語の内容よりも「言葉のリズム」や「響き」を重視しましょう。
ハッハッハ・ザーザー・ふわふわ・きらきらなど「擬音語」や「擬態語」が多い絵本に子どもは強くひきつけられます。「繰り返しの言葉」や誘うような「呼び掛けの言葉」にも興味を示すでしょう。
触って遊べる絵本も楽しい
1歳になると身体的な成長はもちろん、感情面での成長も顕著に感じられるようになります。好奇心が旺盛になると見ているだけでは飽き足らず「触ってみたい」という気持ちも生まれてくるでしょう。
引っ張る・めくる・穴からのぞくなど、触って遊べる「仕掛け絵本」は、絵本の世界に子どもを引き込むとともに指の発達を促します。本に興味を示さない子どもに、興味を持たせるのにも一役買ってくれるでしょう。
仕掛けの精巧さだけでなく、テーマやジャンル、言葉の響きなども考慮しながら選ぶのがポイントです。
1歳の子ども向けおすすめ絵本
1歳の子どもには「言葉を聞く楽しさ」を教えてあげられる絵本を選びましょう。多くのママに選ばれるおすすめの3冊を紹介します。
長く愛されている1冊 童心社『いないいないばあ』
松谷みよ子作の「いないいないばあ」は、1967年から続くロングセラー作品です。子どものころに親に読んでもらったというママも多いのではないでしょうか。
子どもは隠されていたものが「いないいない…ばあ!」と目の前に現れる瞬間が大好きです。
温かみのある素朴な絵とテンポのよい言葉が特徴で、1歳児はもちろん、月齢が低い赤ちゃんでも楽しめるでしょう。
かわいい動物がいっぱい 幻冬舎『うしろにいるのだあれ』
「うしろにいるのだあれ」には、たくさんの動物が登場します。イヌは茶色、キリンは黄色という具合に、鮮やかで分かりやすい色が使われているため、子どもはすぐに反応を示すでしょう。
絵本のなかでは、うえ・した・まえ・うしろなどの方向が勉強できます。成長するにつれ「誰もが見守られている」という絵本に込められたメッセージにも気付いていくはずです。
天皇の長女愛子さまお気に入りとしても紹介され、大きな話題を呼んだ作品でもあります。
一緒に冒険できる 童心社『どんどこ ももんちゃん (ももんちゃん あそぼう) 』
『どんどこ ももんちゃん』は第7回絵本にっぽん賞に選ばれた作品です。
「どんどこどんどこ」というユニークな言葉の響きとシンプルで分かりやすい絵が高く評価されており、1歳以下の子どもへの読み聞かせにも最適です。
主人公ももんちゃんは、おむつ1枚を身に着けた赤ちゃんです。子どもはももんちゃんをまるで自分の友達のように感じるかもしれません。
ハラハラするような冒険シーンも満載で、最後まで一気に読み進められそうです。
・Amazon:どんどこ ももんちゃん (ももんちゃん あそぼう)
触って楽しい人気の仕掛け絵本
指で触れる「仕掛け絵本」は子どもたちをワクワクさせると同時に、脳にもよい刺激を与えます。親子のコミュニケーションのツールにもなるおすすめの仕掛け絵本を紹介します。
めくるのが楽しくなる 東京書店『ドアをあけたら』
『ドアをあけたら』は、窓から見える姿とドアを開けたときのギャップが楽しめる仕掛け絵本です。
すべての見開きページに「穴あき窓」が付いており、子どもは「誰がいるかな?」とワクワクしながらページをめくります。想像力や考える力を伸ばすのには最適な絵本でしょう。
輪郭のはっきりとした鮮やかなイラストも、子どもの目をくぎ付けにします。
思わず触りたくなる 小学館 『とびだす!うごく! どうぶつ』
動物が好きな子どもにおすすめなのが小学館の『とびだす!うごく! どうぶつ』です。ポップアップや回転盤などの仕掛けが多く採用され、指で触れながら楽しく読み進められるのが特徴です。
イラストはシンプルながら動物の特徴をよく捉えており、子どもはキリンやゾウなどの身近にいない動物にも興味を示すでしょう。
大人の手のひらにすっぽりと収まるサイズなので、外出先で子どもがぐずったときにも重宝しそうです。
大人が見ても楽しい 学研プラス『やさいさん』
子どもが興味を示しやすい題材のひとつが「食べ物」です。『やさいさん』にはジャガイモやニンジンなど、身近な野菜が多く登場します。
「やさいさん やさいさん だあれ」の言葉とともに、土のなかに隠れた野菜が飛び出す仕掛けは、子どもの好奇心を刺激するでしょう。
絵と野菜の名前が結び付きやすくなるため「食育のための絵本」としても評価されています。やさいさんのユニークな表情やグラフィカルなイラストにも注目です。
まとめ
絵本の読み聞かせによって、子どもはたくさんの語彙や表現を吸収します。ストーリーの展開を自分なりに想像することで、想像力や創造力も育まれていくでしょう。
子どもは言葉が分からなくても、絵やママの声のトーンによって話の内容を楽しんでいます。絵本を選ぶときは、語調にリズム感のある物や触って楽しめる物を選んであげるとよいでしょう。