毎週水曜日よる10時から放送されている『新宿野戦病院』(フジテレビ)で、橋本愛がかなり重要な役どころを担っている。
本作の舞台である新宿歌舞伎町の現実とテーマそのものに肉薄する演技は、橋本ならでの表現力だ。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、清濁ないまぜの現実を提示する本作の橋本愛を解説する。
都市空間に息づく橋本愛
橋本愛は、都市空間に溶け込むのがうまい俳優だと思う。都市の喧騒でも静かな憩いの場でも、必ず橋本特有の空気感をまとわせて、その場所に有機的に存在する。
橋本の演技とは、都市空間と橋本愛が出会う化学反応だとも言える。例えば、井の頭公演100周年を記念して製作された『PARKS パークス』(2017年)は、顕著だった。冒頭、橋本扮する吉永純が、井の頭公園を自転車で走り抜ける。
橋本による自転車の走行をカメラが、ただただ純粋に捉え続ける感動がある。武蔵野市と三鷹市に広がり、吉祥寺駅から歩いてすぐの大きな公園内で、橋本愛というひとりの俳優が息づくような画面の連続がきらめいた。
歓楽街で演じる支援スタッフ
出演最新作『新宿野戦病院』では、打って変わって新宿歌舞伎町をメイン舞台に、都市そのものの生々しさを代弁する。第1話冒頭から語り部を担い、アジア屈指の歓楽街について、動画配信を通じて外国人向けに英語で説明するのだ。
橋本扮する南舞は、歌舞伎町で支援活動をするNPO法人Not Aloneの新宿エリア代表。2015年に新宿東宝ビルが開業して以来、その周辺部でたむろする若者たち(いわゆるトー横キッズ)には特に目をかける。
歓楽街という限定的な区画の中で、橋本が熱心な支援スタッフを演じているだけで、とても切実なものを感じる。では、舞はなぜこの街での支援を続けているのだろうか?
配信: 女子SPA!