5、妻のモラハラが治らない場合の対処法
さまざまな努力をしても、なかなか妻のモラハラが治らないこともあるでしょう。そんなときはどうすればいいのでしょうか。
ここでは、妻のモラハラが治らない場合の現実的な対処法をご紹介します。
(1)ストレスを発散しながらやり過ごす
妻がモラハラを自覚してくれないのであれば、あなたも真剣に妻の相手をする必要はないでしょう。日常生活における妻の言動をいちいち気にとめず、受け流すのが最も現実的な対処法かもしれません。
ただ、ストレスを溜めると心身に不調をきたすおそれがあるので、妻とは別の趣味を楽しんだり、定期的に友人とお酒を飲みに行くなどして、ストレスを発散しながらやり過ごしましょう。妻のモラハラが軽度の場合は、この対処法がおすすめです。
しかし、モラハラだけでなくDVもされている場合や、あなたが精神的に参っているような場合には、無理は禁物です。
(2)モラハラ妻に対抗する
妻からモラハラ行為を受けたら、こちらも対抗するというのも一つの対処法です。そうすることによって、妻が自分のモラハラ行為に気付き、どれだけ相手を傷つけていたのかを自覚してくれる可能性があります。
ただし、あくまでも妻の自覚を促すために対抗するという意識は常に持っておいてください。単にモラハラ行為をやり返すだけでは夫婦喧嘩にしかなりませんし、深刻なトラブルに発展するおそれもあります。
(3)別居する
モラハラで追い詰められた精神を休めるためにも、ひとまず別居して様子を見るのもよいでしょう。モラハラ妻と顔を合わせない生活に移ることで、自分の中でも状況を冷静に整理することができますし、妻のほうでも自分の行いを見直すきっかけになります。場合によっては、ここで妻が反省してもう1度やり直したいと謝罪してくれることもあるでしょう。
6、モラハラ妻と離婚する場合の注意点
モラハラは、加害者にのみ原因があるわけではなく、両者の相性が関係している場合もあります。自分の言動でパートナーが傷ついていても、そのことをなんとも思わない(ストレスに思わない)、そういう女性もいることはたしかです。夫が行動を改めたり、妻の言葉をスルーすることで改善を図ることも大切ですが、「相性が合わない」ということは根本的にはどうにもできないことかもしれません。
妻のモラハラによって婚姻関係がすでに客観的に大きく破綻していて、将来にわたり修復の可能性が低いといえる場合は「婚姻を継続し難い重要な事由」という法律上の離婚原因に該当する可能性が高いといえます。対処を重ねてもいっこうにモラハラが減らない…現状を改善することができない…そんなときには、離婚を選ぶのもひとつの方法です。
ここでは、モラハラ妻と離婚したくなったときに押さえておきたい注意点をまとめてみましたので、いざというときの参考にしてください。
(1)モラハラの証拠はあるか
離婚をスムーズに進めるためにも、モラハラの証拠はしっかり残しておきましょう。相手が実際に暴言を吐いている録音データや、メールの文面など具体的なものであればあるほど証拠として有効です。
(2)慰謝料を請求できるか
別居後、やっぱり離婚したい気持ちが変わらない場合は、離婚に伴ってモラハラの慰謝料を請求することもできます。モラハラだけの慰謝料ということだと、金額の相場は数十万程度ですが、モラハラが原因でうつ病になり通院した記録があったり、精神的苦痛の度合いが大きい場合は、高額な慰謝料が認められることがありうるでしょう。
(3)親権を獲得できるか
未成年の子供がいる夫婦が離婚する際には、どちらか一方を親権者に指定しなければなりません。
ただ、離婚原因がどちらにあるかという問題と、親権をどちらが獲得するかという問題は、基本的に別問題となります。そして、一般的に親権争いでは「母性優先の原則」や「継続性の原則」により、母親の方が圧倒的に有利なのが現状です。
そのため、妻のモラハラが原因で離婚する場合でも、子供の親権は妻にとられてしまう可能性が高いといえます。
どうしても親権を獲得したい場合は、別途、対処しておく必要があります。離婚時に父親が親権を獲得する方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
(4)養育費を支払えるか
妻が親権者となった場合、あなたには養育費の支払い義務が発生します。養育費は子供を育てるために負担すべきお金なので、妻に離婚の責任がある場合でも夫の支払い義務は免除されません。離婚時に親権の獲得が難しい場合は、養育費を毎月いくら支払うかを計画しておきましょう。
養育費の相場については、裁判所の「養育費算定表」をご参照ください。
養育費算定表
(5)妻と冷静に話し合えるか
妻と離婚するためには、まずは2人で話し合うことになります。慰謝料や親権、養育費についても話し合って決めなければなりません。モラハラ妻は基本的に強気ですので、夫としては、離婚したい理由や離婚条件を主張する根拠などを理詰めで説明し、説得する必要があるでしょう。
ただ、円満に離婚するためには、お互いに冷静になって話し合うことが必要です。しかし、あなたが冷静に話し合うつもりでも、モラハラ妻が冷静に話し合ってくれるとは限りません。場合によっては、モラハラがエスカレートして深刻なトラブルに発展するおそれもあります。
妻のモラハラが酷い場合には、別居してから本格的に話し合う方がよいでしょう。
(6)話し合いがまとまらなければ調停離婚
離婚は基本的に当事者同士の話し合いで手続きを行うことができますが、話し合いがまとまらなかった場合は離婚調停を行います。
離婚調停では、調停委員が間に入ってお互いの話を聞き、話し合いがスムーズに進むようにサポートしてくれるため、離婚そのものに加えて慰謝料の金額などもここで改めて話し合うことができます。
夫婦間にモラハラがある場合は、当事者同士の話し合いが難しいケースも多いので、実質的にはこの調停が離婚の第1ステップになるでしょう。
配信: LEGAL MALL