ひょっこり出現する人
この紹介のおかげで、ひろきの顔をしっかり覚えた人は多いと思う。同番組放送以降、意識しなくてもさまざまなドラマ作品で自然と目に立つようになった。一番の話題は、伊藤沙莉主演の朝ドラ『虎に翼』での出演。
伊藤扮する佐田寅子が、東京から新潟地家裁に異動し、水曜日だけ家庭裁判所で判事を務めることになった第16週第80回。寅子が初出勤すると、彼女を誘ってくれた判事・星航一(岡田将生)の他にもうひとり男性が。
深々と快活に頭を下げる寅子に対して、何ともやる気なく、「お願いします」とボソボソ答える。手鏡を見つめ、しきりに櫛(くし)で髪型を整えてばかりいる判事・入倉始(岡部ひろき)。初登場にしては影が薄い。でも独特な存在感はある。『情熱大陸』の稽古中の場面同様に、岡部ひろきは画面上にひょっこり出現する人でもある。
父親以上に強烈
第17週第81回で再登場。機械的な口調でどこか投げやりだが、ここでもやっぱり髪型だけはしっかり気にしている。仕事中でもお構いなしに櫛を手にする習性がある。何をそんなに気にする必要があるんだか。
1980年代くらいの(あるいは1950年代を舞台にした)アメリカ映画に出てくる若者たちは、油で固めた髪を整えるためによく櫛を取り出す。入倉もたぶんアメリカ人の若者に負けないくらいの頻度で髪に櫛を入れると思う。
髪型を整えるために櫛を取り出す人物としてここまで執拗に描かれると、寅子の父・猪爪直言を演じていた俳優が、岡部たかしだったことをうっかり忘れそうになる。父親以上に息子も十分強烈な俳優ということだろうか。
配信: 女子SPA!