60歳で「貯蓄2000万円」を達成している家庭の割合は? 2000万円以下だと“老後の生活”は苦しいの? 平均支出をもとに解説

数年前に老後2000万円問題が社会問題となりました。年金生活に入るまでに2000万円を目標に貯蓄を進めている人も多いかもしれません。しかし、実際に60歳で貯蓄2000万円を達成している家庭はどの程度あるのでしょうか? また、2000万円を貯めていないと老後の生活はできないのでしょうか?
 
60歳時点での平均的な貯蓄額や、その金額で老後の生活が苦しいのかどうかを検討してみましょう。

60代の平均貯蓄額はおよそ2000万円、ただし中央値は700万円で約7割が2000万円未満

金融広報中央委員会の統計表によると、60歳代の平均貯蓄額(預貯金を含む金融資産額)はおよそ2000万円となっています。これは金融資産を保有していない世帯も含む金額であり、金融資産を保有している世帯だけに限ると2588万円まで金額が上昇します。

 

ただし、これは平均値であり、中央値は金融資産を保有していない世帯を含めると700万円、金融資産保有世帯の場合は1200万円です。つまり、多くの資産を持つ一部の人が平均値を上げており、全体としては金融資産が1000万円以下の世帯が多いことを意味しています。

 

図表1を見ると、2000万円未満の割合はおよそ7割を占めており、多くの家庭にとって2000万円の貯蓄を達成するのは簡単ではないことがわかります。なお、2000万円以上の割合は50歳代では16.6%であり、60歳代で急増しますが、これは退職金などが影響していると考えられます。

 

図表1

保有額 保有無し ~500万円未満 500~700万円未満 700~1000万円未満 1000~1500万円未満 1500~2000万円未満 2000万円以上
60歳代 21.0% 19.6% 7.2% 6.7% 6.8% 5.4% 30.0%

※無回答などを除いているため、合計は100%にならない

金融広報中央委員会 各種分類別データより筆者作成

 

やはり2000万円くらいの貯蓄はほしい

総務省統計局が公表している家計調査報告(令和5年度)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入が24万4580円、支出全体が28万2497円となっています(図表2)。ただし、このデータは持ち家を含むため、住居費がかなり低くなっており、賃貸の場合などはさらに支出が多くなるかもしれません。

 

図表2

総務省統計局 家計調査報告 令和5年

 

この数字を利用すると、毎月の赤字はおよそ3万8000円となり、年間の赤字額はおよそ45万円です。仮に100歳まで生きたとすると、65歳からの35年間で毎年45万円の赤字が続き、合計で1575万円の赤字になります。

 

旅行やリフォームなどの一時的な支出や、万が一の場合などを考えると、やはり2000万円ほどの貯蓄はほしいところです。

 

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