3、妻は旦那の借金を返済する義務はあるの?
旦那が借金をしていると不安に感じるのが、
「私(妻)にも返済義務はあるの?」
というものです。
ここでは旦那が作った借金で、妻に返済義務は生じるのかという疑問を解説します。
(1)基本的に返済義務はない
「妻は家族なんだから旦那の借金は一緒に返済するのが当たり前」
と思っている方も多いようですが、このようなケースでは基本的に妻が借金を返済する義務はありません。
悪質な金融費者の場合、旦那からの支払いが滞ると妻に返済を要求してくることがあります。
しかし、法律上は配偶者(夫、妻)の借金を返済する義務などありません。
そのため、現在夫の借金で金融業者から返済を要求されている妻は支払いを断固として拒否するようにしましょう。
(2)妻にも返済義務が発生するケース
基本的に旦那が作った借金を妻が返す必要はありません。
しかし、例外として以下のようなケースでは妻にも返済責任が生じます。
保証人になっている場合
借金の使用用途が「日常家事債務」であった場合
保証人とは債務者(この場合は旦那)が債務を履行しない場合に、代わりに履行を行う者のことを指します。
つまり妻が保証人になっていた場合、
「旦那(債務者)が借金の返済をしないときは、代わりに保証人(妻)に支払いを行ってもらいます」
ということです。
また借金の使用用途が家賃、公共料金、生活必需品、医療費、教育費などの場合は、日常家事債務に該当するため、妻にも支払い義務が生じてきます。
日常家事債務とは夫婦が共同生活を送る上で、生活に必ず必要になるものを購入した際に発生する債務のことです。日常家事債務に関しては民法第761条において以下のように定められています。
(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十一条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
【引用元】 e-Gov法令検索
4、借金が発覚したら確認・対応すべきこと
妻は旦那に借金があることがわかった時点で、速やかに次の行動に移るようにしましょう。
ここでは旦那の借金が発覚したときに確認しておきたい点や対応しておきたいことをまとめましたのでご覧ください。
(1)借金の理由を確認する
まずは旦那に借金をした理由を問いただしてみましょう。
妻に内緒で借金をしていたとしても、悪いことには使っていないということもあります。
また中には、
「妻に迷惑をかけたくないから今回だけは借入をした」
という旦那もいるでしょう。
ただし、このようなケースはごく稀で大半が「ギャンブル」「趣味」「飲み代」などが借金の理由となっています。
(2)借入の頻度や回数を確認する
借金の理由を確認した後は、借入の頻度や回数です。
ここで旦那に借金の常用性があるか否かがわかります。
借金をした理由が「今回1回限りで終わる」というものであれば、常用性はないと判断できるでしょう。
しかしギャンブル、趣味、飲み代のために借金をしている場合は常用性が強く疑われます。
「今回で何回目?」
「1ヶ月でどれくらい借入してるの?」
といった質問を投げかけてみましょう。
(3)借入先を確認する
借金を返済していくにはどこから借りているのかもしっかり確認しておかなければなりません。
借入先が1社のみであればよいですが、複数社から融資を受けていると毎月の利息だけでも大きな金額になります。
その結果、毎月の返済に充てられる金額も変わってくるため、借入先は必ず確認しておくようにしましょう。
今まで妻に嘘をつき続けていた旦那の場合は、正直に話してくれない可能性もあるため、最初は大変です。
しかし、ここで怒っても逆効果になる可能性がありますので、冷静に粘り強く対応することをおすすめします。
(4)借入額を確認する
借入先と同じぐらい重要なのが借入額です。
総借入額はいくらなのか?
毎月の返済額はいくらなのか?
毎月の返済日は何日なのか?
といった点を確認しておくと、後々の返済プランや返済計画を立てやすくなります。
支払いが困難になるほど借金が膨れ上がっている場合は、旦那も最初は本当のことを話してくれないかもしれません。
しかし、真実を伝えないといつまで経っても借金地獄から抜け出すことはできません。
「今までの明細ある?」
「契約書持ってる?」
といったように辛抱強く問いかけてみましょう。
(5)担保付きで借金をしているか否かを確認する
銀行や消費者金融からお金を借りる場合は無担保よりも、「担保付き」のほうがより多額の借入が可能です。
担保とは、お金を返せない場合にお金の代わりに貸主に譲り渡す財産的価値を有するものを言います。
一般的な夫婦の場合、担保にするのは自宅の土地や家です。
担保付きの契約をした場合、返済が一定期間滞るとこれらの財産が取り上げられてしまいます。
つまり、お金を返せない場合、(自宅を担保に入れていた場合は)自宅を貸主に取られてしまう(住めなくなる)ということです。
そのため、旦那には早めのタイミングで借金の契約内容を確認しておくようにしましょう。
ちなみに旦那の言い分が信用できない場合は、法務局で「不動産登記事項証明書」を取得して、家や土地が担保になっているか否かを確認するのもおすすめです。
(6)借金を肩代わりしてもらっているか否かを確認する
お小遣い制や自由に使えるお金が少ない旦那の場合、多額の借金を自分1人で返済していくのはきわめて困難です。
このような場合は親、友人、知人に借金を肩代わりしてもらっている可能性もあります。
詳細は後述しますが、借金の肩代わりをしてもらっている場合は速やかに肩代わりをやめてもらうことが大切です。
これは今後、旦那が借金をしないためにも大切なことです。
旦那にも協力してもらって、肩代わりをした人が誰なのかまでしっかり把握しておきましょう。
配信: LEGAL MALL