3、事実婚と同棲との違い
事実婚と単なる同棲は異なるものです。正式な(届出をした)婚姻関係にない男女が同居しているという点では両者は同じですが、夫婦関係にあるとの認識がある事実婚に対して、同棲はそのような認識がないものです。
逆に、単純に「同棲している」と周囲には言っていても、本人たちが夫婦関係にあると考えている場合には、それは事実婚に当たるということになります。
4、事実婚と届出婚(法律婚)との違い
事実婚に対して、婚姻届を提出して結婚することを届出婚(法律婚)といいますが、事実婚と届出婚とではどのような違いがあるのでしょうか?
(1)公的な手続面での違い
先ほども述べましたが、事実婚は公的な手続の場面において婚姻関係にあるものと認められないことが多々ありますが、届出婚の場合にはこのようなことはありません。
(2)戸籍での違い
届出婚の夫婦は同一の戸籍に入りますが、事実婚の夫婦の戸籍は別々になります。事実婚は特に届出などをすることはありませんので当然のことです。
(3)相続での違い
事実婚では夫婦間に相続関係は発生しません。
民法は、配偶者を法定相続人としており、届出婚の夫婦は互いに法定相続人になることになりますが、事実婚状態の男女は相続の場面では法定相続人とは扱われません(もちろん、遺言により遺贈を行うことは可能です)。
(4)子どもの扱いでの違い
事実婚の夫婦間に子どもが生まれた場合、その子どもの父親が法律的に父親として扱われるためには認知が必要です。
また、子どもは母親の戸籍に入り、父親とは別の戸籍となることになります。届出婚の場合には、夫婦間に生まれた子供は当然にその夫婦の子どもと扱われますし、子どもは夫婦の戸籍に入ります。
配信: LEGAL MALL