事実婚と内縁の証明方法:住民票の重要性と記載手順

事実婚と内縁の証明方法:住民票の重要性と記載手順

5、事実婚(内縁)のメリット

届出婚(法律婚)と比較して事実婚にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

(1) 姓の変更がない

現在の制度では、届出婚の場合には必ずどちらかが姓を変えて夫婦が同じ姓になり、同一の戸籍に入らなければならないこととされています。

現在の日本では一般的には女性側が男性側の姓を名乗ることが多くなっていますが、仕事の関係などで姓を変えたくないという場合も考えられます。

そのような場合にはいわゆる通称として旧姓を仕事で使うこともありますが、職業によってはそれが許されないこともあります。事実婚を選択すれば、戸籍の変動はないため、姓を変える必要もありません。

なお、最近問題となっている夫婦別姓が法律的に実現すれば、届出婚でもこのメリットは享受できることになるでしょうが、実現にはまだ時間がかかりそうです。

(2)夫婦関係を解消しても戸籍に記載されない

届出婚の夫婦が離婚した場合には、それぞれの戸籍に離婚した旨の記載が残ります。これに対して、事実婚の夫婦が関係を解消して別れても、戸籍には何の記載もされません。

(3)男女の対等な関係の維持

現在の日本では、結婚するときには女性が男性の家に入るというような意識がまだ残っている部分があります。女性が姓を変えることが多いのもそのあらわれと言えるかもしれません。

事実婚では男女いずれも姓を変える必要がなく、戸籍も別々でいることができますので、男女の対等な関係が維持できるということができるでしょう。

6、事実婚(内縁)のデメリット

一方、届出婚(法律婚)と比較して事実婚にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

(1)相続のタイミングでのデメリット

事実婚の夫婦は、互いに法定相続人とは扱われません。そのため、一方が死亡した場合、他方が相続できないことになります。

なお、このデメリットは遺言を残しておくことである程度は解消できますが、その場合でも相続税が課税されるというデメリットが残ります。(もちろん、法律婚をしていても相続税が課税される場合がありますが、控除の枠が大きいため、相続税が課税されないことも多いでしょう。)

(2)子どもに関するデメリット

先ほども挙げたとおり、事実婚の夫婦に子どもができた場合、法律的には非嫡出子(婚姻関係にない男女間の子)と扱われ、法律的な父子関係を発生させるには認知が必要です。

また、子どもは自動的に母親の戸籍に入り、母親の姓を名乗ることになります。さらに、届出婚では両親双方が持つ子どもの親権は、事実婚では母親が持つこととなります。その他、子どもの成長に連れて、子どもと父親の姓が異なることでの不便が多くなるおそれもあります。

(3)公的手続

公的な手続をする場合、事実婚の夫婦は様々な点で不便な思いをすることがあります。

例えば、税金面では、事実婚の夫婦は配偶者控除や配偶者特別控除が受けられない、相続時に不利に扱われるなどのデメリットがあります。また、事実婚でも社会保険上の被扶養者となることはできますが、届出婚の場合と違い、事実婚にあることの証明を別にする必要があり、手続が少し面倒になります。

(4) 社会的体面

増えてきたとは言っても、まだわが国では事実婚の夫婦は少数派です。以前に比べればだいぶ認知されているとは言えるでしょうが、事実婚に対する社会的認知度はまだまだだといえるでしょう。

したがって、届出婚でなく事実婚を選択したことについて、他人から質問されたり疑問に思われたりすることもあるかもしれません。また、家族や親族から反対されることもあるかもしれません。

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