菊池病とは、首のリンパ節の腫れが起こるリンパ節炎です。
あまり馴染みのない病気ということもあり、リンパ節の腫れと聞くと悪性のリンパ腫などを思い浮かべる方もいるでしょう。
しかし、この病気は良性のリンパ節炎であり治すことも不可能ではありません。ご自分がかかった時に備えるためにも、正確な病気の情報を把握しておくことが大変重要です。
そこで本記事では、菊池病の症状とはどのようなものかを解説します。原因・受診する科・治療方法・完治するのか・再発するのかも詳しく解説するので、参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「菊池病」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
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監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
菊池病とは
菊池病はどのような病気ですか?
菊池病とは、希少な良性リンパ節炎の一種です。組織球性壊死性リンパ節炎とも呼ばれており、東洋人に多い病気です。
主に20~30代の女性に多くみられ、治療の有無に関係なく2~3カ月程度で自然治癒するケースが多いですが、稀に再発する点が特徴に挙げられます。
症状を教えてください。
この病気の主な症状としては、次のようなものが挙げられます。
リンパ節の腫れや痛み
発熱
食欲不振
嘔吐
体重減少
発疹
症状の1つがリンパ節の腫れや痛みです。ほとんどのケースで、頸部のリンパ節が腫れて痛みが伴います。片側だけが腫れる場合が多いです。
また、発熱も主な症状に挙げられます。個人差もありますが、38度以上の高熱が数週間以上続くこともあるため身体への負担が大きいです。
さらに、食欲不振や嘔吐などの症状が現れる場合もあります。食欲がなくなり吐き気などが伴うため、さらに食べ物の摂取が困難になってしまうのです。
その結果、体重減少を発症するケースもあります。発疹も主な症状の1つです。非常に稀ではありますが、腫れたリンパ節が気管支などを圧迫することで呼吸がしづらいなどの症状を引き起こすケースもあります。
原因を教えてください。
菊池病の原因は、まだはっきりと分かってはいません。しかし、いくつかのウイルス感染症や免疫の異常によって引き起こされていると考えられています。
代表的なウイルスとしては、以下のものが挙げられます。
EBV
HIV
HTLV-1
EBVとは、エプスタインバールウイルスのことで、ほとんどの方が一生の間に感染するといわれているウイルスです。HIVはヒト免疫不全ウイルスのことで、免疫細胞に感染してエイズなどを引き起こします。HTLV-1とはヒトT細胞白血病ウイルスであり、白血球の1つであるT細胞に感染するウイルスです。
いずれのウイルスも免疫を司る細胞に感染する点や、感染後に細胞の腫れとリンパ節の腫れを引き起こす点が共通しています。
また、免疫異常が原因の場合は、免疫機能が正常に働かないことによって体内の炎症が抑えられないためにリンパ節が腫れるメカニズムです。しかし、これらの原因はあくまでも過去の症例に基づいて考えられているものであり厳密には明確になっていません。
編集部まとめ
菊池病は稀な病気であり、いまだ原因も詳しく分かっていない病気です。過去の症例はありますが、根本的な治療方法も分かっていません。
しかし、効果が期待できるステロイド薬による治療などはわかっているため、医師の指示に従って治療を行えばほとんどの場合治ります。
正しい治療を進めて完治させるためにも、病気についての正確な情報を把握しましょう。また、万が一症状が現れた場合にはすぐに専門の医療機関を受診しましょう。
参考文献
菊池病の2例
菊池病69例の臨床的検討
配信: Medical DOC
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