精神的苦痛の証明方法とは?根拠となる法律と損害賠償請求をする手順

精神的苦痛の証明方法とは?根拠となる法律と損害賠償請求をする手順

3、精神的苦痛で損害賠償・慰謝料を請求する際に必要なもの

では、精神的苦痛を受けた場合に、どのようにしなければならないでしょうか。

精神的苦痛を受けた場合でも自動的に自分に慰謝料が振り込まれてくる制度はありません。

そのため、相手に請求をして交渉をして、交渉が上手くいかなくなったら裁判をする必要があります。

最終的には、裁判をして勝たなければならないので、次のようなものが必要になると考えましょう。

(1)精神的苦痛を受けたと証明できるもの

裁判になった場合には、自分が主張すること実を立証できなければなりません。

2種類の立証が考えられます。

①精神的苦痛の原因となった「事実」(「原因事実」と言います)の証明

このような状況なら多くの人が強い精神的苦痛を感じるだろう、という形での証明です。

たとえば不貞行為をされた場合には、不貞行為を裏付ける写真やメール、業務過多による精神的苦痛なら残業時間の証明などです。

②どれだけの精神的苦痛があったかの証明

原因事実の起きた時期に、このような状態であったと証明して精神的苦痛が存在したことを証明します。

例えば以下の通りです。

診断書(腹痛、胃痛、うつ病など)

→肉体精神に悪影響が出るほどの精神的苦痛があったとされ、精神的苦痛があったことの証明となります。

ハラスメント当時の日記

→その記載から当時の気持ちが明確となれば、精神的苦痛があったことの証明となります(原因事実の証明にも寄与します)。

具体的な状況(事実)

たとえば、仕事を辞めてしまった、部署移動を願い出た(実際に異動した)、カウンセリングに行ったなどです。

このような事実から、どれだけ精神的苦痛を受けていたのかが推定されることができます。

交通事故など、怪我等での慰謝料では、入通院日数・頻度から慰謝料が算定されています。

(2)裁判を起こす際に必要な書類やお金

証拠を相手につきつけても、そもそも精神的苦痛の原因であると認めない場合や、請求した額に争いのある場合には、相手は慰謝料の支払いに応じないことになるでしょう。

そうすると裁判を起こす必要が出てきます。

裁判をするには、裁判所に書類を提出し必要な費用がかかります。

裁判に必要な書類としては

訴状(作成の仕方はこちら)
証拠
証拠説明書

といったものの作成が必要になります。

必要な費用としては

印紙代(例えば200万円の訴訟をした場合には15000円)
切手代(東京地裁に提起する場合には6000円)
弁護士費用(相談料30分5000円程度・着手金訴額の8%程度)

といったものが必要になります。

(3)加害者の名前や住所

慰謝料の請求をする裁判は、相手が存在していることはもちろん、その相手を特定して被告にしなければなりません。

その際には、加害者の名前や住所を必要とします。

4、精神的苦痛で損害賠償・慰謝料の請求手続きの流れ

では、実際に損害賠償の請求をする場合の流れを見てみましょう

(1)話し合い

基本的にはまず話合いをします。

どのようなこと実関係があったのかということや、どのような被害が生じたのかをお互いで確認をして、慰謝料の支払い意思があるかを確認します。

実務では、本気で慰謝料請求をすることを示すために、内容証明郵便を利用することもあります。

(2)調停

話合いが上手くいかないような場合には、裁判所を仲介者にして話し合う調停という手続きが利用できます。

調停は裁判所を通してする手続きで、裁判官と調停委員という事情通の人が2人選任され、当事者の話を交互に聞いて、打倒な案を示してくれるシステムです。

精神的苦痛の損害賠償の額は計算はとても難しいので、事情に詳しい人に話を聞いてもらい、妥当な金額が知りたい場合には利用する価値はあるでしょう。

手続きは裁判所に申立てをすることで行います。

1か月に1度期日というものが設定され、その日に裁判所に出向きます。

当事者の一方が呼ばれて、裁判官・調停委員と話をして、次に相手が呼ばれて同じく話をします。

そうして事案を整理することで、調停案というものを出してもらいます。

双方の当事者が納得すれば、事件は終了という形になります。

調停案が出たからといって、かならずその通りにしなければならないわけではありません。

納得がいかない場合には裁判手続きに移行することも可能です。

(3)裁判

話合いや調停でも納得できる結論が出ない場合には裁判をすることになります。

訴状・証拠・証拠説明書といったものを作成して、印紙・郵券を購入して裁判所に提出をして行います。

1か月に1度くらいのペースで期日が設けられますので、それに合わせて準備書面を提出して、判断を求めることになります。

あくまで当事者の主張とそれに基づく証拠によって裁判所が判断を下すことになります。

裁判が確定すると、その判断は基本的には覆らなくなるので、裁判手続きは慎重に行う必要性があります。

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