離婚時の財産分与とiDeCo、つみたてNISA:5つのポイントで損をしない方法

離婚時の財産分与とiDeCo、つみたてNISA:5つのポイントで損をしない方法

3、つみたてNISA口座も財産分与の対象となる

(1)つみたてNISAとは?

「つみたてNISA」とは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。2018年からスタートし2037年までの非課税運用ができるように制度設計されています。

日本在住の20歳以上の方であれば原則として誰でも利用することができます。

口座は1人につき1つの口座しか認められていません。

購入した投資信託を保有している間に得た分配金と値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が購入した年から数えて20年間、課税されないという税制上の優遇措置があるため夫婦で利用して積立投資している方も多いのではないでしょうか。

「つみたてNISA」の非課税枠は新規投資額で毎年40万円が上限ですので毎年40万円まで一定の投資信託が購入可能です。非課税で保有できる投資総額は20年間で最大800万円になります。

非課税期間の20年間が終了したときには、NISA口座以外の一般口座や特定口座の課税口座に払い出されます。なお、つみたてNISAでは、ロールオーバー(翌年の非課税投資枠に移すことを)することができません。

これに対して「NISA」(「つみたてNISA」に対して「一般NISA」と呼ばれることもあります。)の非課税枠は新規投資額で毎年120万円が上限です。非課税枠投資は最長5年間で最大で600万円です。

ここで、「つみたてNISA」口座内の投資信託等の資産についても財産分与の対象となります。

投資信託や株式等は日々価値が変わりますので現金化が難しく、分与が難しい財産のひとつです。

(2)投資財産の分割方法

株式や有価証券、仮想通貨としった投資財産を分与するためには、現物分割や、代償分割、換価分割による財産分与方法があります。

まず、「現物分割」とは、財産を現物のまま分与割合に従って分与する方法です。

次に「代償分割」とは、財産の価値を評価して,夫婦の一方がその財産を取得し、他方はその財産と同程度の価値のある財産を取得する方法です。

最後に「換価分割」とは、財産を売却して現金化しその現金を分与割合に従って分与する方法です。

投資信託とは、投資家から集めた現金を運用して、得られた利益や運用益を投資家に分配する仕組みになっています。投資信託は比較的売却しやすいため、金融商品によっては代償分割になじむ場合もあります。

投資信託は購入後に運用による収益を一定額以上出さなければ信託手数料分がマイナスとなって元本割れを起こしてしまうリスクがあります。また、金融商品によっては分配金が支払われる投資信託もありますので、売却する時期については慎重に判断する必要があるでしょう。

共有財産を把握するために目録を作成した当時は保有している資産は低額であったものの、その後その資産価値が上昇して離婚時には作成時の倍になっていたような場合には評価額は離婚時の倍のものになります。

資産価値が下落する場合も同様です。

このように投資信託については一方の不公平感から財産分与手続がスムーズにいかない場合もあります。

そこで評価額が大幅に変化した際の対応についてもルールを決めて協議して離婚協議書にも明記しておくことが両当事者のメリットになる場合が考えられます。

協議にあたっては、分割方法や分割割合については投資信託の特徴や運用方法に鑑みて決定していくべきでしょう。

4、確定給付年金も財産分与の対象となる

「確定給付企業年金」とは、確定給付企業年金法に基づいて実施されている企業年金制度です。規約型企業年金と基金型企業年金の2種類があります。

「規約型」企業年金とは事業主が従業員の同意を得て、規約に従って掛金を外部に拠出することで年金資産を管理・運用する年金給付のことです。

「基金型」企業年金とは事業主が従業員の同意を得て、別法人として設立されている企業年金基金が規約に従って年金資産を管理運用する年金給付のことです。

確定給付企業年金についても確定拠出年金と基本的には同様に考えます。

企業年金ですので企業が従業員の在職中に積立て、退職後に年金として支払うものです。

婚姻期間中の掛金については夫婦の共有財産として評価されます。

確定給付企業年金の評価方法は、退職時に一時金として給付される金額を算出して、一時金の金額を同居していた期間で割り付けることで共有財産として評価することが可能となります。

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