相手を幸せにするための『利他褒め』
――『愛のハイエナ』では「短文で褒めない。根拠となる前提文を作ってから褒める」という褒めの技術がバズりましたが、前提文ってパッと思いつくものなんでしょうか?
軍神:あのときの前提文は、「ショートカットってかわいい女の子しか似合わないよね」でしたね。基本、前提の部分は原理原則をそのまま言えばいいです。「これはこういうものだよね」っていう部分。かわいい女の子がショートカットが似合うのは原理原則ですから。「顔が小さい女の子しか似合わないよね」でもいいですね。これも原理原則。
軍神:でも、技術に走らなくても“褒め”には大事なポイントがあって。自分がいつも言っているのは『利他褒め』です。利他的に褒める。これは、「相手のために叱る」の逆で、「相手のために褒める」。そこを考えていったら褒めるポイントはいくらでも出てきますよ。
――『利他褒め』初めて聞きました。
軍神:自分が勝手に作った言葉なので、知らなくて当然です(笑)。お世辞ってその人に良く思われたいから褒める行為じゃないですか。その逆と思ってください。その人を幸せにするために褒めるんです。相手を肯定する褒め方、それが「利他褒め」です。
ショートカットの例で言えば、ロングヘアの人がばっさり髪を切ったとき、欲しい言葉は「ショートカットのあなたも素敵だよ」という肯定ですよね。こちらの好みや印象どうこうじゃない。その褒めは誰のためになっているのか? その人のためなんです。「似合うね」と言われたら嬉しいじゃないですか。嬉しいってことはそこで何かしらの生産性を生むんです。たとえば笑顔とか。気分がよくなるっていうことも生産性ですよね。
職場において「叱る」と「褒める」は理性
軍神:「相手を幸せにする」という視点に立つと、人が褒められたいところ、肯定されたいところが見えるようになってきます。職場や家庭、友人関係、いろんな集団のなかで『利他褒め』をして下さい。生産性を生みますから。家族間であれば家庭円満、会社であれば成果を上げることにつながります。
職場に嫌な上司やムカつく部下がいるなら、部署やチームの人全員でその人を褒めまくってください。上司であれば「○○さんに相談すると的確な答えをくれるので嬉しいです」とかね。こういったことを全員に言われてみて下さい。「あ、自分ってそういうやつなんだ」と、ポジティブな部分を伸ばしたくなる。もっとみんなのために頑張ろうという意識になる。承認を満たされると気持ちいいですから、もっと貢献したくなるんです。
――嫌いな人を褒めるのは嘘臭くなりそうな気が…。
軍神:大丈夫! ムカつく人でも良いところは必ずあります。それも「相手を知る」です。人に嫌われたくて行動する人なんかいない。それなのになぜ嫌われてしまうかというと、それが嫌われる行動だとわかってないから。そこを踏まえ上で相手を知っていくと良いところも見えてくる。そこを褒めまくるんです。
――感情は置いといて良いところ褒める?
軍神:そう、職場において叱ると褒めるは理性です。ムカつくからで叱らない。好きだからで褒めない。ちゃんと相手のことを思って叱る、褒める。すべては彼らを良い方向に導くためです。
配信: 女子SPA!