触られることがストレスになりやすい「ふれあい動物」は他にも…
ハリネズミだけではく、モルモットやウサギといった小動物も「ふれあい動物」にされやすいもの。しかし、そうした小動物も過度なスキンシップから体調を崩すことがあります。
例えば、ウサギは「寂しがり屋」というイメージが強いものですが、実は警戒心が強く、自己主張をしっかりとする生き物。個体によって性格や気質は違いますが、過度に構われることが強いストレスになる子もいます。
モルモットは最もポピュラーな「イングリッシュ」や縮れ毛が特徴的な「テディ」など、様々な品種がいますが、いずれも穏やかな性格である反面、警戒心は強め。モルモットは肉食動物から捕食される存在だったため、その名残りから警戒心が強く、臆病な子が多いのです。
捕食対象であったモルモットにとっては、自分より体が大きな人間も脅威の対象。もちろん個体差はありますが、自宅での飼育下では愛情を持ってお世話をしても懐かない子もいると言われています。
モルモットは聴覚が優れているため、大声や大きな物音が苦手。初めての人や環境に慣れるのに時間がかかりますし、環境の変化によってストレスを感じることもあります。ちなみに、突然のフリーズは、怖がっているサインです。
なお、モルモットは、ペットショップや動物園などでのふれあい体験では複数の個体がひとつのケージに入れられていることもありますが、1匹ずつケージを用意することが推奨されています。
なぜなら、群れる習性がある一方、集団の中で優劣をつけるという特徴があるから。弱い個体は攻撃の対象にされてしまうことがあるため、飼育環境にも配慮することが大切なのです。
動物の命を「エンタメ」として消費しない運営形態を
このように「ふれあい動物」とされている生き物は人間が思っているよりも、はるかに繊細。
ゼロ距離で動物の生態を学び、理解を深めるふれあい型の動物園はたしかに子どもにとってよい情操教育となることもありますが、一方で動物の命が“人を癒すエンタメ”として消費されていないか、社会全体で考えていく必要があります。
今回、話題になったふれあい動物園のホームページでは獣医師や動物飼育経験者のスタッフが募集されているなど、動物の命を気遣おうとする気持ちは垣間(かいま)見えますが、動物愛護の声が高まっている社会の現状を踏まえ、より動物ファーストな仕組みにしていていくことが求められます。
触れ合える時間に制限を設けて動物を十分に休ませる、些細な異変を感じた時にすぐ対処できるよう、獣医師を常勤させるなど、動物の心と体、両方の健康を守る対策は命をエンタメとして消費しないために大切なことです。
近年は、北海道にある「旭山動物園」のように人間が見たい行動を動物に押し付けるのではなく、本来の運動能力や行動を見せることで種の尊さを伝える「行動展示」が注目を集めるなど、一般的な動物園でも命の扱い方は変わってきています。
ふれあい型の動物園も在り方を見直す時期が来ているのかもしれません。
<文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
配信: 女子SPA!
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