「くちクサっ!」と思われてるかも…厳しい残暑で“お口トラブル”から体調不良の危険性がアップする理由

「くちクサっ!」と思われてるかも…厳しい残暑で“お口トラブル”から体調不良の危険性がアップする理由

酷暑だった今年。いつも以上に体調管理に気をつけた人も多いかと思いますが……お口のケア、忘れていませんか?


じつは気温が上がる夏は、口の中のトラブルが増える季節。虫歯や歯周病のリスクが上がったり、口臭が出やすくなったり。暦の上ではすっかり秋とはいえ、厳しい残暑が続いていますから、まだまだ注意が必要です。

唾液が減って渇くと健康状態に影響も

夏の暑さとお口トラブルについて、歯科医師の照山裕子先生はこう解説します。

「暑くて息苦しいと、どうしても口を開け放しにすることが多くなりますよね。また汗をたくさんかくので体も脱水に傾きがち。そのため唾液が減って口の中が渇いてしまうのです。

唾液はさまざまなかたちで体を守っていますから、唾液が減少すると健康状態を損ねることにつながりかねないのです」(照山裕子先生 以下、カギカッコ内同じ)


照山先生によると、唾液の役割はさまざま。唾液が口の中を潤すことで食べかすや歯垢、細菌を流す「自浄作用」のほか、唾液に含まれる消化酵素がデンプンを分解しての消化促進。食事などによって溶けてしまった歯質を修復したりもしているそう。唾液が十分に分泌されることで、私たちの体は健康に保たれているのです。

重要なのは唾液の“量”と“質”

「そういえば、口の中がなんだかネバつく」「口の渇きが気になる」なんて人は、唾液の量が減っている可能性があります。気づかぬうちに、「口、クサっ!」と思われているかも!?

じゃあ、口の中が潤っていればいいのかというと、それだけではないようで、照山先生は、「唾液の質を高めることも大事」だと言います。

「先ほども指摘したように、唾液自体にいろいろな働きがあり、病原体の侵入を防ぐ『抗菌・抗ウイルス作用』も唾液の重要な役割のひとつ。唾液は物理的に細菌を洗い流しているだけでなく、唾液の力によって体を守ってくれています。唾液力を高め、『質のいい唾液』をしっかり出して口の中の乾燥を防ぐことが、全身の健康をも守る万病対策になるのです」


そして、その「唾液の力」を担う主体が、免疫物質「IgA(免疫グロブリンA)」という物質なのだそう。

「IgAは口や目、鼻、腸管などの粘膜に存在し、細菌やウイルスなどの病原体から体を守ってくれています。とくに口は食事など外から異物が最初に入ってくる場所であり、ここで病原体の侵入を防ぐことがとても大事なのです」


たとえるなら、IgAは頼りになる屈強な「門番」。侵入した細菌やウイルスなどの外敵を見つけると、IgAはベタっとくっついて捕まえ、唾液で洗い流しているのだそうです。

実際、IgAが減ると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる可能性が指摘されています。プロスポーツ選手を対象にした研究(※1)では、風邪をひくと健康時に比べてIgAが明らかに低下し、その減少は風邪の症状がでる3週間前からはじまっていたとか。


※上記画像は、血清IgAを用いてIgAの働きを可視化したもの

今夏は手足口病や溶連菌感染症、新型コロナウイルス感染症などが流行しましたが、秋が訪れ、冬に向かって、インフルエンザなどが流行する感染症のハイシーズンに突入します。今からIgAを十分に含んだ「質のいい唾液」をつくれる体になることが必要なのです。

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