気温35℃以上などの環境では、ゲームや動画を避ける
いろいろ調べていくうちに、スマホには「適正な利用気温(環境温度)と湿度」が定められていることがわかりました。iPhoneの適正使用温度は「0~35℃」で、他の機種も基本的に同じぐらいだそう。
しかし今夏は気温が35℃を超える日もありました。そんな日にスマホを使うにはどうしたらいいのでしょうか。
「スマホの利用は、電話やメール程度にとどめておくほうがいいです。ゲームや動画などはNGです。もっとも、高温の場所でゲームなどをプレイすると画面がカクカクしたりするので、使いづらいと感じるのではないでしょうか」
使わないのが一番ですが、スマホにあまり負荷がかからない使い方なら大丈夫そうです。
ふつうの気温差なら、結露はあまり心配なし
スマホは結露に弱いため、急激に冷却することはNGですが、どれくらいの気温差に注意すればいいのでしょうか。
ウエザーニュースによると、結露が発生するのは、湿度が80%の場合は気温差たった約3℃とあります。執筆時の湿度84%。屋外から冷房のきいた部屋に入れば3℃ぐらい下がるでしょうが、これは結露の心配があるのでしょうか?
「スマホでは、熱を伝えて(熱伝導/熱拡散)、スマホ内部の熱を均一にし、スマホが熱くならないような工夫がされています。そのため、外気温との差でできる室内の結露よりも、気温差は緩和されます」とのこと。(スマホの熱拡散のしくみは後述)
急激な冷却はNGですが、それほど神経質にならなくても大丈夫そうです。
プロが普段やっている熱さ対策を教えて!
スマホの内部構造を熟知しているFCNTの開発チームの人は、日ごろどんな対策をしているのか、聞いてみました。
「フレームレートの設定を変更したり、アプリ設定でも高画質モードを使わないようにして、熱くならないよう対策をしています。
それでも熱くなってしまった時は、スマホを手のひらに密着させるることで冷やしたり、ファンで風をあてて熱を逃すような工夫をしています。充電しながらスマホを使いたいときにはダイレクト給電を利用していますね」
熱くならないように工夫されている内部構造
最後に、スマホが熱くならないよう、内部にはどんな工夫が施されているのか、スマホの内部構造を図説してもらいました。
スマホの内部では、発熱する部品の熱をスマホの内部に拡散することでヒートスポットを緩和し、熱をおさえています。
サーモビュア―で測定した結果を見てみると、何も施さないスマホにあった赤色の高音箇所が、熱拡散をおこなうことで、なくなっているのがわかります。
そのために、ぎっしりと詰まっている部品のいろいろな箇所に熱拡散をおこなうための金属や熱伝導シート(テープ状)が施されています。
スマホの過熱は心配の種ですが、通常の使用方法であれば突然の故障や爆発を心配しすぎなくてもよいことがわかりました。でも、過度な負荷をかけることは避けるべきです。
これを機にスマホが熱を持った際の効果的な対処法や、事前にできる対策、設定を確認し、安心して快適に使用できる環境を整えてみてはいかがでしょうか。
※取材先:FCNT合同会社
プロダクト事業部/春藤和義氏、谷定昌弘氏、長友克夫氏、近藤洋一氏
プロダクトマーケティング統括部/森田博典氏 広報室/芦田研一氏
<取材・文/栗山佳子>
【栗山佳子】
損害保険会社で情報誌の編集に携わったのち、生活情報誌、住宅情報誌の編集を経てフリーランスに。現在はライターとして、ライフスタイルやスマホ関連の記事を中心に執筆中
配信: 女子SPA!
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