猛暑には麻が涼しい。日本から長い間消えていた大麻の衣服を着てみたくて

猛暑には麻が涼しい。日本から長い間消えていた大麻の衣服を着てみたくて

ラミーとヘンプの製品はそれほど多く売ってはいない


 好きが高じて、私はこのリネンの種を庭にまいて、育ててみたことがあります。

 園芸にはまっていた30代のころ、英国王立園芸協会の会員でした。会員になると、年に1回、カタログの中から好きな種30種類のプレゼントがありました。その中にリネンの種があったのです。

 リネン好きとしては、これは植えてみなければということで注文。その他たくさんの未知の種と一緒にリネンの種がイギリスより送られてきました。

 庭に種をまくこと数週間。ひょろひょろとひ弱な茎と、薄い緑色の小さな葉っぱが伸びてきて、その先端に咲いたのは、これまた消え入りそうな薄い水色の可憐な小花でした。これがリネンになるのね、と感動したのもつかの間、ひょろひょろのリネンはうまく育たず、一年草として、その年で枯れて終わってしまいました。


 リネンも好きですが、その他の麻も気になります。けれどもラミーとヘンプの製品はそれほど多く売ってはいません。特に2000年より前は、ヘンプの服など見たことがありませんでした。

 しかし麻を探していたある年、ラミーと記載されているインポートのサファリジャケットを発見したのです。早速買ったラミーのサファリジャケットは、適度な硬さと耐久性のある素材でできており、色、デザインともお気に入りの一着だったので、すり切れるまで着続けました。

ヘンプは今サステナビリティから注目されている素材

 最後にヘンプです。実はこのヘンプ、今、サステナビリティの観点から大変注目されている素材なのです。

 理由は、成長が早いこと、農薬や化学肥料が不要、または少量で済むこと、荒れ地でも育つことなど。ヘンプの重要性については、edXのサステナブルファッションのコースでも特に強調されていました。

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 日本に木綿が輸入される前に衣服に使われていたのはヘンプ(大麻)です。日本では長い間使われてきた馴染みがある素材です。

 それが1948年、GHQにより大麻禁止法が施行され、大麻の所持、栽培、使用がすべて禁止されました。その影響もあって、ヘンプ素材の衣服は、長い間、日本から消えていました。


 しかしこれからはヘンプです。麻好きな私としてはぜひ着てみたい。そう思っていろいろ見ていたのですが、まだまだ市場に多く出回ってはいないこと、またあったとしても高価なものが多いことなどから、ずっと保留にしていました。

 そんな折、いつもながめていた生地屋さんで、お勧め素材としてヘンプが出ていることに気付きました。それならば、生地を買って何か作りましょう、ということで今回、巻きスカートを作製してみました。

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