口内炎と口腔がんの見分け方
口内炎はよく見られる病気なので、口内炎があるといつも口腔がんを疑うわけにはいきませんが、2週間以上口内炎が治らない場合は口腔がんの可能性もあるので、専門医を受診することがおすすめです。
口腔がんの初期症状は、痛みのようなはっきりとしたものはありません。しかし、口腔内の粘膜の変化が現れることがあります。
口腔粘膜症状としては、色が白くなったり、赤みが強くなる、ただれる、ざらざらしたり、しこりを感じるといったものになります。
しかしこれらの症状は口腔がんだけにみられるわけではないので、症状だけで口腔がんとその他の疾患を見極めるのは極めて困難です。
このため、以下のようなセルフチェックを行い、このような症状がみられる場合は、歯科、歯科口腔外科または耳鼻咽喉科の専門医への受診をお勧めします。
セルフチェックポイント(口腔がんの初期症状)
・口内炎が2週間以上なおらない
・舌や口の中の粘膜の色が白く変化する
・舌の赤みが強くただれている
・舌の表面がざらざらしたり、しこりを感じる
・歯ぐきの腫れや出血がある
・歯のぐらつきがある
※歯のぐらつきの最大の原因は歯周病なので、歯がぐらつくだけでは、口腔がんと考えることは難しいのですが、口腔がんになると歯を支えている歯槽骨も影響をうけるため、歯がぐらつくことがあります。
口腔がんの前兆となる初期症状
白板症
白板症とは、白色の板状または、斑状の角化成病変で、擦過してもぬぐえないものをさします。
癌化率は、4.4~17.5%と報告されています。
原因は明らかにはなっていないのですが、たばこ、アルコール、刺激性食品、不適合補綴物などのような、局所への継続的な化学的もしくは、物理的刺激が誘因としてあげられます。
好発部位は、頬粘膜、舌、口底、口蓋です。また好発年齢は50~70才代で、男性は女性の2倍ほど多いことが知られています。
基本的に治療は外科的処置が必要となるので、口腔外科への受診をお勧めします。近くの歯科クリニックでも、白板症の疑いがある場合は口腔外科に紹介することが多いので、おかしいなと少しでも疑問に思った場合は、かかりつけの歯科医院で聞いてみることが重要です。
肉眼的に同じようにみえる疾患として、口腔カンジダ症という真菌感染症がありますが、カンジダ症の場合はガーゼで拭うととれるので、患者本人でも違いを認識することができるかもしれません。しかし、口腔カンジダ症であってもAIDSなどの初期症状の可能性もあるため、どちらにしても専門医への受診をお勧めします。
白板症自体、緊急性のある疾患ではないのですが、一部がん化する可能性があるため、早期発見、早期治療が望ましい疾患といえます。
紅斑症
紅斑症とは、発赤したビロード状の赤斑として生じる口腔粘膜病変です。
赤斑症はきわめてまれな疾患ですが、がん化する可能性が口腔粘膜疾患の中で最も高く、40~50パーセントといわれています。
高率でがん化するため、外科的切除が必要となります。そのため、口腔内に特に舌縁に赤斑が見られたら、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
また、外科手術後は、長時間にわたる経過観察が必要です。
配信: Medical DOC